年金が「減る」仕組みを理解しよう──物価・賃金との関係と「減額制度」の現実
制度の在り方が再議論される可能性
日本は高齢化が急ピッチで進んでいることから、現役世代の負担が過度に重くなっており、これを是正するため、政府は04年からこの制度をスタートさせた。日本の高齢化は当分の間、継続することがほぼ確実視されており、年金もこれに合わせて毎年減額されていく。
これまでは物価の下落が続いていたことから、減額の影響は最小限で済んでいたが、今後、インフレが長期化するとそうはいかなくなる。国民年金しか加入していない人の場合、支給額の絶対値が少ないため、生活がより苦しくなることが想定される。物価上昇が止まらなかった場合、年金制度の在り方が再度、議論される可能性はそれなりに高いだろう。
今年度からは、年金の受け取り開始年齢も変更された。これまでは65歳を原則として、60~70歳の間で受け取り開始時期を選ぶことができたが(繰り上げ受給もしくは繰り下げ受給)、4月からは、繰り下げ受給できる年齢が75歳まで引き上げられた。繰り下げれば年金額は増えるが、それまでは自力で生活しなければならない。
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