コラム

円安は投機筋の影響より「日本の実力」と見るべき...もはやマイナス面の方が大きい

2022年04月06日(水)17時15分

今、進んでいる円安は慢性的な低成長や企業の衰退など、いわゆる国力の低下を原因としたものであり、構造的なものと考えてよい。そうだとすると、その解消には長い時間が必要であり、為替の動きに逆らうのは難しいとの結論にならざるを得ない。

一部からは、現状打開策として円高待望論が出ているようだが、通貨安を防衛する場合、外貨準備の範囲でしか介入できないので、市場から政府の限界が見透かされてしまう。円安の進行そのものは受け入れた上で、経済への影響を最小限に抑えるとともに、通貨安が続いても一定の成長が持続できるよう国内市場を改革する必要がある。

少なくとも日本円が安くなれば、海外にとって日本は割安な市場ということになり、海外マネーを活用する道が見えてくる。円安による富の海外流出に伴い、国内資金の不足も懸念されることから、金融市場の整備など、優良資金を取り込む仕組み作りを急ぐべきだろう。

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プロフィール

加谷珪一

経済評論家。東北大学工学部卒業後、日経BP社に記者として入社。野村證券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務を担当する。独立後は、中央省庁や政府系金融機関などに対するコンサルティング業務に従事。現在は金融、経済、ビジネス、ITなどの分野で執筆活動を行う。億単位の資産を運用する個人投資家でもある。
『お金持ちの教科書』 『大金持ちの教科書』(いずれもCCCメディアハウス)、『感じる経済学』(SBクリエイティブ)など著書多数。

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