コラム

安倍政権の新型コロナ経済対策しだいで、日本経済の未来が変わる

2020年04月02日(木)11時58分

今回のウイルスが終息しても、再び同様のパンデミックが発生するリスクは否定できないため、従来のオペレーションを抜本的に見直す企業が増えても不思議ではない。実際、中国ではリモートワークが拡大したことから、一気にビジネスのオンライン化が進むとの見方が台頭している。

コロナ後の企業社会においては、従来型サプライチェーンの見直しや拠点の分散化、クラウドを使ったビジネス・インフラの仮想化などが一気に進むだろう。緊急時でも人に依存しない自動運転システムや業務の人工知能(AI)化、(感染リスクが高いとされる)満員電車を解消する交通システム多様化へのニーズがさらに高まってくる。5年後の世界経済の光景は一変している可能性すらあるだろう。

日本の財政は厳しい状況に追い込まれており、今回の経済対策は、大規模な財政出動を実施できる最後のチャンスでもある。コロナ後の新社会を見据え、日本企業のビジネスモデルを一気にITシフトする戦略的な財政支援が実現できれば、次の成長ステージも見えてくるが、ここで方向性を見誤った場合、景気浮揚のチャンスを二度とつかめないかもしれない。

<本誌2020年3月31日号掲載>

プロフィール

加谷珪一

経済評論家。東北大学工学部卒業後、日経BP社に記者として入社。野村證券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務を担当する。独立後は、中央省庁や政府系金融機関などに対するコンサルティング業務に従事。現在は金融、経済、ビジネス、ITなどの分野で執筆活動を行う。億単位の資産を運用する個人投資家でもある。
『お金持ちの教科書』 『大金持ちの教科書』(いずれもCCCメディアハウス)、『感じる経済学』(SBクリエイティブ)など著書多数。

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