お国柄が表れる各国の新型コロナ経済対策 日本の特徴とは?
中央政府の権限が強く、グランゼコールと呼ばれるエリート養成学校を卒業した官僚が実務を取り仕切る。ミッテラン政権時代に企業の国有化を積極的に進めた経緯もあり、主要企業の多くが政府の管理下にある。アメリカほど自由な経済活動は推奨されず、労働者は手厚く保護され、労働組合も労働者と政府をつなぐ窓口という位置付けだ。
GDPに占める政府支出の割合は主要国で最も高く、既存の社会保障制度の枠内で処理できる部分が大きい。このため、今回のコロナ危機でフランス政府が新規に提示した経済対策は450億ユーロ(約5兆円)にすぎない。
欧州とアメリカの中間に位置するのがイギリス。アメリカと同様、自助努力を求めるが、かつては福祉国家だった時代もあり(「ゆりかごから墓場まで」)、今も全国民がほぼ無料で病院を受診できる国民保健サービス(NHS)が機能している。主な支援策は就業者への休業補償で、今のところ780億ポンド(10 兆円)程度が見込まれている。
では日本はどうかというと、社会保障が手薄で自己責任論が強いという点では米国型だが、支援の額は極めて少ない。主要国の中では最も過酷な部類に入るだろう。
<本誌2020年5月5、12日号掲載>
2020年5月5日/12日号(4月28日発売)は「ポストコロナを生き抜く 日本への提言」特集。パックン、ロバート キャンベル、アレックス・カー、リチャード・クー、フローラン・ダバディら14人の外国人識者が示す、コロナ禍で見えてきた日本の長所と短所、進むべき道。
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