お国柄が表れる各国の新型コロナ経済対策 日本の特徴とは?
アメリカは金額のインパクトと対応の素早さが際立っていた KEVIN LAMARQUEーREUTERS
<金額勝負であとは個人の自助努力に任せるアメリカ、もともと手厚い社会保障を活用する欧州。では日本の対策はどうなのか>
今回のコロナ危機では、経済支援に関する各国の価値観の違いが浮き彫りになった。戦いが長期化することは確実なので、今後の対策について冷静に議論するためにも、各国の違いについて理解を深めておくことは重要だろう。
日本を除く多くの国では、厳しい外出規制を敷いており、経済活動が著しく抑制されている。この状況に対し、金額の規模で対処したのはアメリカだった。同国の経済対策は2兆ドル(約220兆円)という大規模なもので、GDPの約1割に相当する。この中には国民1人当たり1200ドル(子供は500ドル)の給付金や、中小企業に対する休業補償などが含まれる。
アメリカは基本的に苛烈な競争社会で、国民の約1割が医療保険に加入していない。一般的には福祉が手薄な国と思われているが、実際はそうでもなく、メディケイド(低所得者医療保険制度)、食料配給券制度(旧フードスタンプ)、子育て世帯向けの粉ミルク支援策、賃貸住宅補助(いわゆるセクション8)、給食の無料券など、実は日本よりも手厚い福祉制度が整っている。
だが政府が手取り足取り面倒を見るというよりは、制度の利用についても自助努力というスタンスで、今回も当座の生活をカバーする資金を提供したので、後は自力で生活を立て直すことを求めているように見える。
アメリカやドイツは既に支払いを実施
一方、社会保障が手厚い欧州は、既存の制度を有効活用した支援が行われている。ドイツは休業や時短勤務の所得補償制度を使って労働者の所得補償を実施し、この枠組みに入らない中小零細事業者やフリーランスに対しては、自己申告制で数十万円の支援金を即座に支払った。ちなみにアメリカも対応は素早く、4月前半の段階で既に資金の支払いが実施されている。
フランスもドイツに近い。日本ではフランスのことを単に「自由の国」とイメージする人も多いが、これは少々偏った見方といってよい。フランスは基本的に革命国家であり、今の政府(第五共和制)は革命当時と同一ではないがその精神をしっかり引き継いでおり、社会主義的な色彩が極めて濃い。
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