現金給付と休業補償、コロナ経済対策で救われるべきは誰なのか?
従業員を休ませた後、どれだけ持ちこたえられるかは企業の体力次第であり、完全に企業の自己責任の範疇になる。ただ零細事業者の場合、事業オーナーが無制限の個人保証を求められるなど、リスク分散が実現できていないケースも多い。一定規模以下の事業者については、事業オーナーも従業員と同様の扱いにするといった配慮が必要だろう。
休業補償ではなく、世帯や個人に対する現金給付に支援を一本化する場合には、各人の状況は考慮されないので、とにかく給付までの時間を短くすることが最優先となる。人によっては今日、明日の生活に困っているはずなので時間的猶予はない。この場合、所得制限は実施せず、一定額を一律給付するのもやむを得ない。
高額所得者に給付することについて疑問視する声もあるが、給付を一時所得にすれば税金で国庫に返ってくるので、高額所得者への過度な恩恵も回避できる。現代資本主義というのはリスクとリターンで成立しており、リスクを引き受けるのは投資家や経営者の役目である。会社が誰のものかを考えれば、おのずと対象もはっきりするはずだ。
<本誌4月14日号掲載のものを一部変更・加筆>
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