コラム

投資の初心者こそ、王道たる「長期投資」のすすめ

2020年01月17日(金)12時24分

日々の値動きから心理的な悪影響を受けるのを避けられるのも長期投資のメリット TORU HANAIーREUTERS

新年を迎え、今年は投資への取り組みを本格化しようと考えている人も多いだろう。いつの時代も資産形成の王道は長期の株式投資で、その原則は今後も変わらない。今回はなぜ長期の株式投資にメリットがあるのか解説したい。

株式投資には大きく分けて、短期的に利ざやを稼ぐ方法、長期的な企業の成長に期待する方法の2種類がある。株式投資が持つリスクというのは、確率的に得られる株価の年間想定ブレ幅(金融工学ではボラティリティーと呼ぶ)で決まるので、短期は危険で長期は安全ということはなく、どのような時間軸であっても相応のリスクが発生する。しかしながら長期投資(特に長期の積み立て投資)には短期投資にはないメリットがある。

日本の株式市場は過去平均で年間6%の利回りがあったが、これはバブルやリーマン・ショックなど、あらゆる上昇と下落を平均したものだ。株価というのは上昇と下落を繰り返しながら値を上げていくものなので、より長い期間、投資を続けていれば、高い時も安い時も株式を取得することになり、徐々に平均的な利回りに近づいていく。

特に積み立て投資の場合、心理的な悪影響を排除できるというメリットも大きい。実際にやってみるとよく分かるが、人間の心理というのは非常に危うく、株価が下落して資産額が減ると、精神的に極めて大きなダメージを受ける。株価下落時は投資のチャンスだと分かっていても、恐怖心が邪魔をして手が出せなくなってしまうのだ。

だが毎月一定額を機械的に投資すると決めていれば、精神的負担をいくぶん和らげることができる。下落している時に株式を買い続けられるかは、その後の投資成績に大きく影響するので極めて重要である。

銘柄選びの心配もなし

個人的な話で恐縮だが、筆者は20数年にわたって株式の長期投資を続け、現在の資産額は数億円規模まで拡大している。投資に対する特別な才能を持たなかった筆者がこれだけの資産額を築くことができたのは、決して休むことなく投資を継続したからである。

プロフィール

加谷珪一

経済評論家。東北大学工学部卒業後、日経BP社に記者として入社。野村證券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務を担当する。独立後は、中央省庁や政府系金融機関などに対するコンサルティング業務に従事。現在は金融、経済、ビジネス、ITなどの分野で執筆活動を行う。億単位の資産を運用する個人投資家でもある。
『お金持ちの教科書』 『大金持ちの教科書』(いずれもCCCメディアハウス)、『感じる経済学』(SBクリエイティブ)など著書多数。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

ECBの金融政策、「漸進主義」が奏功=レーン理事

ビジネス

ECB、段階的な利下げを 慎重姿勢維持必要=独連銀

ワールド

NY南部連邦地検トップが辞任へ、FTX関連など著名

ワールド

G7、共通の見解模索 ネタニヤフ氏逮捕状発行で=伊
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:老けない食べ方の科学
特集:老けない食べ方の科学
2024年12月 3日号(11/26発売)

脳と体の若さを保ち、健康寿命を延ばす──最新研究に学ぶ「最強の食事法」

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 2
    寿命が5年延びる「運動量」に研究者が言及...40歳からでも間に合う【最新研究】
  • 3
    「ダイエット成功」3つの戦略...「食事内容」ではなく「タイミング」である可能性【最新研究】
  • 4
    テイラー・スウィフトの脚は、なぜあんなに光ってい…
  • 5
    「このまま全員死ぬんだ...」巨大な部品が外されたま…
  • 6
    「典型的なママ脳だね」 ズボンを穿き忘れたまま外出…
  • 7
    日本株は次の「起爆剤」8兆円の行方に関心...エヌビ…
  • 8
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 9
    またトランプへの過小評価...アメリカ世論調査の解け…
  • 10
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 1
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 2
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 3
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り捨てる」しかない理由
  • 4
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 5
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでい…
  • 6
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱…
  • 7
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」…
  • 8
    「このまま全員死ぬんだ...」巨大な部品が外されたま…
  • 9
    「ダイエット成功」3つの戦略...「食事内容」ではな…
  • 10
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 4
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
  • 5
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大き…
  • 6
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 7
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 8
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 9
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 10
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story