中国経済が失速しても世界経済の底は抜けない
中国・浙江省に大量に放棄されたライドシェア用の電気自動車 COSTFOTOーNURPHOTOーREUTERS
<中国は巨大市場と言われるが民間消費はアメリカの半分以下。経済タカ派もハト派も皆、中国を買い被りすぎている>
「スタグフレーション」がやって来る、と言う人が増えている。不況で雇用が減り、賃金が下がれば、物価は下がるのが普通。しかし原油高騰などの外部要因でインフレが起こり、国民はダブルパンチ。これがスタグフレーションだ。
産業革命以降、「資本主義の危機」(要するにモノを作りすぎて売れず、不況になる)は何度も叫ばれてきた。そのたびに経済を救ってきたのは実は植民地拡大であり、戦争だった。
最近のスタグフレーションは1970年代のアメリカで起きた。この頃のアメリカは、日本、西独からの輸出にさらされて製造業が空洞化し、経済が後退する一方、73年の「石油危機」で原油価格が跳ね上がり、インフレが起きたのだ。
これを境に夫婦共稼ぎが一般化し、おうようだったアメリカ人は一気に世知辛くなる。生活の悪化は、カーター大統領が80年、1期だけでレーガンに敗れる主因となった。
しかし90年代にはインターネットが急速に発達し、ITが経済に新たな次元をもたらす。それに、世界経済への中国の参入が重なった。先進諸国は戦争なしに、新しい市場を手に入れた。以後30年間、世界は中国を軸にGDPを膨らませ合う、「皆で一緒にドーピング」の現象を呈する。
「またトラ」でウクライナ停戦が成立すれば、北朝鮮兵が平和維持軍に? 2024.11.12
中国経済が失速しても世界経済の底は抜けない 2024.10.22
「焦げたアンパンマン」? 石破首相はワルになれ! 2024.10.08
強権政治家、故フジモリ大統領を礼賛した日本社会のリーダー像 2024.09.26
テレグラムCEOドゥロフは、国境を突き破るIT巨人 2024.09.06
日本にキレるロシアには大人の対応を 2024.08.24
米経済の立て直しには「根本治療」が必要だ 2024.08.01