コラム

「トランプの逆襲」で世界はどうなる?

2024年02月08日(木)18時00分

心配なのは、彼が台湾防衛の前面に日本を立たせようとする、そして途中ではしごを外すかもしれないことだ。ただ、いずれにしても「トランプ再選で日米同盟は終わり」ということにはならない。対中・対北朝鮮抑止に米軍と日米同盟は絶対必要なのだから、過剰反応、先走りは禁物だ。

経済関係については、日本の対米貿易黒字はもう突出して多くないので問題にならない。トランプが国内産業保護のために関税を上げても、日本はさして困らない。トランプにとっては、米国内での日本企業の投資、米企業との提携のほうが重要だろう。

一番心配なのは、トランプのアメリカが世界の文明の行き先を変えてしまうことだ。他国の人間たちの権利・生活を思いやることがなければ、世界はやらずぶったくりの中世に逆戻りとなる。トランプを支えるアメリカの保守層には、自分たちの権利だけでなく、世界に責任を持つことが、「アメリカを再び偉大な国にする(MAGA)」秘訣であることを分かってもらいたい。

 
 
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2025年4月8日号(4月1日発売)は「引きこもるアメリカ」特集。トランプ外交で見捨てられた欧州。プーチンの全面攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

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プロフィール

河東哲夫

(かわとう・あきお)外交アナリスト。
外交官としてロシア公使、ウズベキスタン大使などを歴任。メールマガジン『文明の万華鏡』を主宰。著書に『米・中・ロシア 虚像に怯えるな』(草思社)など。最新刊は『日本がウクライナになる日』(CCCメディアハウス)  <筆者の過去記事一覧はこちら

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