崩壊30年でソ連に回帰するロシア
ゴルバチョフ大統領の辞任会見を見る市民(1991年12月、モスクワ)AP/AFLO
<「お上」への依存意識が染み就いた国民は負担を押し付ける「改革」には反対する。だからロシアが「西側の一員」になることはない>
ソ連が崩壊して30年。自由だ、市場経済化だと大騒ぎの末に元の木阿弥(もくあ)み、そして徒労感―― 。これが、ロシア人識者がいま感じていることだろう。
ソ連崩壊に先立つ1991年8月の保守派クーデターの失敗直後、国営テレビのアンカーマンは、「ではお元気に」という決まり文句ではなく、「では『自由』になってください」という言葉でニュースを締めた。多くのロシア人は、共産党体制を壊せば西側並みの自由で繁栄した世界が明日にもやって来ると思っていた。その結果何が起きたか?
92年1月2日、新しい「ロシア連邦」政府は全ての補助金の撤廃と、国定価格の廃止・自由化を宣言した。値上がりを期して倉庫に退蔵されてきた商品は徐々に店に出たが、パンの価格などは文字どおり「毎日2倍」というハイパー・インフレで、その水準は2年間で6000%。
自由を求めていたインテリは貯金を失った。街では有象無象のマフィアが縄張り争いで好き放題に撃ち合いを繰り広げ、強盗は白昼堂々と市民のアパートに押し入る。空港では青年たちが「こんな国にいるのが恥ずかしい」と言い外国に飛び立っていく。多くの国民は「改革」「自由」「民主主義」「市場経済」の4点セットへの不信と憎悪を体に刷り込んだ。
以降の30年をくくると、次のようになる。2000年までの最初の約10年は生活の崩壊、混乱、そして屈辱、国債の大量発行による偽りの回復とデフォルト。ここでプーチン大統領が登場し、折よく起きた世界原油価格の高騰に助けられてのタナボタ成長、この間のロシアのGDPは4・5倍(名目ドルベース)にもなる。
そして次の約10年は、08年のリーマン危機、14年のクリミア併合に対する西側の制裁と原油価格の暴落を受けGDPは28%ほど縮小した。24年には大統領選挙がある。プーチン個人が残るかどうかは別にして、「プーチン体制」は続くだろう。
国というのは惰性で動く。プーチンを押し立てて利権と権限をもらって生きている寡占資本家や公安関係者はもちろんのこと、一般市民も現体制で暮らしを立てているので政権を倒そうとは思わない(国営企業の多いロシアでは大多数の人が直接・間接を問わず国に雇われている)。
西側は「ロシアには自由がない」と言うが、プーチンや正教会の悪口を言わなければ何を言ってもいい。だからプーチンがいなくなっても今の構造はそのまま残る。そこを変えようとする者は、なりふり構わぬ弾圧に遭うが、一般国民は彼らを味方と思っていないから黙っている......。
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