コラム

長期政権を担う気構えに欠ける「つなぎの菅政権」が継ぐべきビジョン

2020年10月01日(木)15時00分

縦割りとか規制とかIT化と言うが、一番の問題は政府、そして社会全体にある。全てのことに「所管」省を決め、何が起きても(起きなくても)所管省の責任を問う。そうなると彼らは縮こまり、不要なほど規制を強化して社会を窒息させてしまう。

これは政府主導とか官邸主導で片付く問題ではない。大げさに言えば、奈良時代に中国の集権制、律令国家制度を取り入れて以来の積年の弊だ(益もあるが)。大企業の新卒一括採用や集団行動偏重の学校教育など、社会全体の常識、習わしを変えないと、経済や社会は活性化するまい。

菅義偉首相は、団塊世代が出す最初の(そして多分最後の)総理大臣。団塊世代の使命は「つなぐ」ことにある。菅政権は戦前や次の自民党政権に向けてつなぐのではなく、未来の社会につなぐビジョンを打ち出してほしい。

<2020年10月6日号掲載>

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10月6日号(9月29日発売)は「感染症vs国家」特集。新型コロナに最も正しく対応した国は? 各国の成功例と失敗例に学ぶ。

プロフィール

河東哲夫

(かわとう・あきお)外交アナリスト。
外交官としてロシア公使、ウズベキスタン大使などを歴任。メールマガジン『文明の万華鏡』を主宰。著書に『米・中・ロシア 虚像に怯えるな』(草思社)など。最新刊は『日本がウクライナになる日』(CCCメディアハウス)  <筆者の過去記事一覧はこちら

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