菅首相選出に国民はしらけムード、日本の統治体制は死に体だ
日本で自民党と旧民主党系が対立する構図は、戦後冷戦の資本主義と社会主義の対立を反映したもので、ソ連崩壊後の今は古くなっている。双方は解党して、別の対立軸に基づく政党をつくるべきなのだ。
アメリカでも、共和党も民主党も一度解党して、低所得者と高所得者という対立軸に基づく二大政党にでも再編成するべきだ。イギリスでも、ドイツでも、フランスでも、既存の政党構図はきしみを立てて壊れつつある。近代欧州に育った民主主義は国民一人一人の権利を高めることで偉大な成功を収めたが、まさにそのために民主主義の目詰まりを起こしてしまった。この大いなるパラドックスは、世界中で議論を高めて解決していかないといけない。
今回の総裁選びの過程では、外交が議論の対象になっていないのも驚くべきことだ。細かいことはいいので、日本の立場、日本の利益を外国の首脳にきちんと伝え、取引のできる能力を持っているかどうか。その点も判断の大きな基準にしてほしかった。ないものねだりかもしれないが。
<2020年9月22日号掲載>
【関連記事】菅義偉、原点は秋田県湯沢のいちごの集落 高齢化する地方の縮図
【関連記事】自民党総裁選に決定的に欠けているもの
【話題の記事】
・大丈夫かトランプ 大統領の精神状態を疑う声が噴出
・安倍晋三を朝鮮半島で躓かせたアナクロニズム
・地下5キロメートルで「巨大な生物圏」が発見される
・中国は「第三次大戦を準備している」
・安倍晋三の真価とは......日本は「あまり愛されなかったリーダー」を懐かしく思い出すかもしれない
9月22日号(9月15日発売)は「誤解だらけの米中新冷戦」特集。「金持ち」中国との対立はソ連との冷戦とは違う。米中関係史で読み解く新冷戦の本質。
「またトラ」でウクライナ停戦が成立すれば、北朝鮮兵が平和維持軍に? 2024.11.12
中国経済が失速しても世界経済の底は抜けない 2024.10.22
「焦げたアンパンマン」? 石破首相はワルになれ! 2024.10.08
強権政治家、故フジモリ大統領を礼賛した日本社会のリーダー像 2024.09.26
テレグラムCEOドゥロフは、国境を突き破るIT巨人 2024.09.06
日本にキレるロシアには大人の対応を 2024.08.24
米経済の立て直しには「根本治療」が必要だ 2024.08.01