菅首相選出に国民はしらけムード、日本の統治体制は死に体だ
日本で自民党と旧民主党系が対立する構図は、戦後冷戦の資本主義と社会主義の対立を反映したもので、ソ連崩壊後の今は古くなっている。双方は解党して、別の対立軸に基づく政党をつくるべきなのだ。
アメリカでも、共和党も民主党も一度解党して、低所得者と高所得者という対立軸に基づく二大政党にでも再編成するべきだ。イギリスでも、ドイツでも、フランスでも、既存の政党構図はきしみを立てて壊れつつある。近代欧州に育った民主主義は国民一人一人の権利を高めることで偉大な成功を収めたが、まさにそのために民主主義の目詰まりを起こしてしまった。この大いなるパラドックスは、世界中で議論を高めて解決していかないといけない。
今回の総裁選びの過程では、外交が議論の対象になっていないのも驚くべきことだ。細かいことはいいので、日本の立場、日本の利益を外国の首脳にきちんと伝え、取引のできる能力を持っているかどうか。その点も判断の大きな基準にしてほしかった。ないものねだりかもしれないが。
<2020年9月22日号掲載>
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