コラム

ロシアで叫ばれる「アメリカ崩壊論」の現実味

2020年07月28日(火)17時00分

世界でのアメリカの地位を支える軍は、これからも強い力を維持していくだろう。ロシアでは、「アメリカは工業を失った」「ドルは紙切れになった」などと揶揄するが、アメリカは何でも造る技術を持つし、高付加価値製品を中心に今でも世界第2の製造業生産高を誇る。ドルは下落していくだろうが、これに代わる「世界通貨」はない。

コロナ危機では世界中の銀行が血眼になってドルをかき集めた。トランプ1人だけでは、アメリカ、そして世界は壊れない。それでも国際政治学者のジョゼフ・ナイが言うように、バイデン大統領が誕生することになってもトランプ以前の世界はもう戻ってこないだろう。

アメリカの同盟国は、自前の防衛力強化を迫られる。気候変動、感染症の大流行、サイバー攻撃、テロ等の問題について、多数の国々と協力してルールを定め、何でもありの弱肉強食の世界にならないよう努めていくしかない。

<2020年8月4日号掲載>

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2020年8月4日号(7月28日発売)は「ルポ新宿歌舞伎町 『夜の街』のリアル」特集。コロナでやり玉に挙がるホストクラブは本当に「けしからん」存在なのか――(ルポ執筆:石戸 諭) PLUS 押谷教授独占インタビュー「全国民PCRが感染の制御に役立たない理由」


プロフィール

河東哲夫

(かわとう・あきお)外交アナリスト。
外交官としてロシア公使、ウズベキスタン大使などを歴任。メールマガジン『文明の万華鏡』を主宰。著書に『米・中・ロシア 虚像に怯えるな』(草思社)など。最新刊は『日本がウクライナになる日』(CCCメディアハウス)  <筆者の過去記事一覧はこちら

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