プーチンの国ロシアの「ざんねんな」正体
7月にモスクワで起きた民主化要求デモをきっかけに、プーチンは公安機関への依存を強めている。約1カ月半の間に全国で3000人が一時拘束され、首謀者の自宅には深夜に公安が踏み込んで逮捕する。まるでスターリン時代のような取り締まりだ。
ロシアは高齢者が少なく、35歳以下の若い世代が人口の約半数を占める。彼らの多くは自由な西側文化に染まり、強い権利意識と上層部の汚職に対する厳しい意見を持ち、SNSの呼び掛けで集会・デモを繰り広げる。何ともちぐはぐだが、現在のロシアでは上層部と政府依存体質の大衆が「ネオ・ソ連時代」を、知識人層は「ネオ・ペレストロイカ時代」を生きている。
ロシアの歴史は繰り返す。支配と富の分配構造が固まって70年もたつと、ひずみと不満が増大して暴力的な革命が起きる。1917年のロシア革命、そして1991年のソ連崩壊がそれだ。ソ連崩壊の結果生まれた現在の構造は、今また破断する定めなのかもしれない。ただロシアの場合、革命は進歩をもたらさない。特権階級が交代するだけだ。
このような国とは、「適当」に付き合うべきだ。極東ロシアは政治・経済両面で日本にとって大きな意味を持たない。極東ロシア軍は人員、装備とも手薄で、日本の脅威ではない。北方領土は当面返さないだろうから、この問題でこちらから譲歩することは避ける。諦めて平和条約を結んでも、見返りに得られるものはない。
ロシアに反日感情はない。むしろ自らの対極とも言える日本文化、日本人に憧れている面もある。きちんとしていないロシア人に振り回されないように気を付けさえすれば、ロシアは「愉快な」相手なのだ。
<本誌2019年10月01日号:特集「2020サバイバル日本戦略」より>
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