トランポノミクスの過熱で再来する、アメリカ「双子の赤字」危機
この不況で、アメリカはついに経済覇権を中国に明け渡すことになるだろうか。そうはなるまい。ほかならぬ中国も含め各国が対米輸出で成長を維持し、ドルを国際取引の主要決済手段とする構造が変わらぬ限り、アメリカ優位は揺るがないからだ。
中国は08年の世界金融危機を4兆元(約67兆円)相当の内需拡大で乗り切ったが、今再びアメリカ発の金融危機が襲ってくれば、同じことはもうできない。この10年間の無理な銀行融資増発は多額の不良債権を生み、中国経済を脅かしているからだ。
かくてバブル崩壊で転んでも、アメリカはただでは起きない。ドル下落でアメリカはやがて輸出を増やし、貿易赤字を減らすだろう。プラザ合意後のようにアメリカは焼け太る。そして「儲けたい」というアニマル・スピリットが人間の心から消え去らない限り、資本主義も終わらない。
それでもバブル崩壊で世界経済は、大荒れの時期に差し掛かるだろう。折しも朝鮮半島では南北が手を握り、アメリカに退場を願うということになるかもしれない。政経複合型の大波を覚悟する時代が来たようだ。
<本誌2018年2月27日号掲載>
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