韓国「グローバル中枢国家」外交の中身は「まだ検討中」
とはいえ問題もある。彼らがキャッチフレーズや断片的な政策を離れ、どのような国際的地位の獲得を目指し、どのような具体的な役割を果たそうとするのか、いまだに明らかではないことだ。
漏れ聞こえてくるのは、「具体的な内容はまだ詰めている」という話であり、それが現在の彼らの本音なのだろう。とはいえ当然、目指すべき国家像の不明確さは、個々の国々との外交政策にも影響を与える。
キャッチフレーズは大統領もお気に入りというから、政府が後ろ向きなわけではない。重要なのは韓国の経験が決定的に不足していることだ。大きな力は付けたものの、どう使っていいか分からない。それはかつて80年代の日本が経験した道でもある。
発足から7カ月がたった尹政権の対日政策が「日韓関係を重視する」との掛け声とは裏腹に、大きな成果を上げていないのもそのためだ。
新政権は何を目指し、日本といかなる関係を結ぼうとするのか。そしてそこにはどの程度の覚悟と決意が存在するのか。それが見えてこない限り、日本側が尹政権と大きく合意することは難しい。
しかし、それは彼ら自身が乗り越えなければならない問題だ。仮に明確な将来像が示されない場合、日韓関係に大きな進展を期待するのも難しい。2023年の韓国外交、そして日韓関係は彼らの「準備」に多くが懸かってくることになりそうだ。

アマゾンに飛びます
2025年4月22日号(4月15日発売)は「トランプショック」特集。関税発表の直後に90日間の猶予を宣言。世界経済を揺さぶるトランプの真意は?
※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら
金沢の「尹奉吉記念館」問題を考える 2025.04.16
ユン韓国大統領がついに罷免、勝利したのは誰なのか? 2025.04.04
ユン大統領の釈放と、ますます揺らぐ韓国法秩序への信頼 2025.03.18
「竜頭蛇尾」な戒厳令と、罪を免れたいユン大統領のジレンマ 2025.02.19
韓国の与党も野党も「法の支配」と民主主義を軽視している 2025.01.15
注目は、韓国ドラマばりのエリート・韓東勲が復活できるか──戒厳令後の韓国 2024.12.27
韓国大統領の暴走を止めたのは、「エリート」たちの矜持だった 2024.12.10