コラム

バックパックを背負った犬が歩くたび、自然が蘇る未来

2024年12月06日(金)17時30分

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バックパックを装着した犬と飼い主 STEVE LEWIS

それでも既に成功と言えるのが、地域社会の関わりだ。この地を長いこと歩いていた人々が土地の健全化に貢献し、SNSを通じて互いに、そしてトラストとつながっている。

バーバラ・ヘイドンと彼女の猟犬フリーダは週に2回、この土地を散歩する。「うちの子には多くの経験をさせたい」とヘイドンは言う。「彼女が走り回りながら種をまくのを見るのは素晴らしい。走るのがとても速いので、短時間でかなりの面積をカバーする。ただ自分らしくいるだけで大切な仕事をしているのを見るのは、とても誇らしい。あの子のことを見直した」


プロジェクトはメディアの高い関心を集めている。だが報道は必ずしもポイントを捉えていないと、ミードは言う。

「犬にオオカミの役割を担わせるというアイデアが関心を呼んだが、これは全体の取り組みの一部でしかない。私たちは野生種の影響を再現し、人間と自然の結び付きを回復することを目指している」

How dogs can help rewild an urban nature reserve by acting like wolves

次はイノシシを主役に

例えば保護区には小川があるが、ビーバーはいない。ビーバーのダムは水流を調整し、大雨の際は水流を遅くし、さらには水を浄化する助けにもなる。ダムは新しい生息地を形成し、その多様性を高める。

だが、ビーバーがいないのにビーバーダムを造るにはどうすればいいのか。1つの答えは、人にダムを造ってもらうことだ。「動物をまねろと言われたときの人々の行動は興味深い。現実を忘れて没頭する」と、ウォーカーは言う。

プロフィール

コリン・ジョイス

フリージャーナリスト。1970年、イギリス生まれ。92年に来日し、神戸と東京で暮らす。ニューズウィーク日本版記者、英デイリー・テレグラフ紙東京支局長を経て、フリーに。日本、ニューヨークでの滞在を経て2010年、16年ぶりに故郷イングランドに帰国。フリーランスのジャーナリストとしてイングランドのエセックスを拠点に活動する。ビールとサッカーをこよなく愛す。著書に『「ニッポン社会」入門――英国人記者の抱腹レポート』(NHK生活人新書)、『新「ニッポン社会」入門--英国人、日本で再び発見する』(三賢社)、『マインド・ザ・ギャップ! 日本とイギリスの〈すきま〉』(NHK出版新書)、『なぜオックスフォードが世界一の大学なのか』(三賢社)など。

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