加計学園問題は、学部新設の是非を問う本質的議論を
さはさりながら、この特区を使うしか現実的に規制緩和の方法がないとされているのが現状です。そうした状況下で、果たして加計学園を選ぶことが、そのプロセスも含めて妥当だったのか?というのが恐らく多くの国民が疑問に思われている点でしょう。つまり、獣医学部設立の必要性や要件も含めて突き詰めた審議の上での決定だったのかが非常に重要となります。それを確認するのが2つ目のフェーズですが、それにはこれまでの会議の議事録を確認するのが最も手っ取り早いわけです。
ところが、そうした議事録の緻密な内容確認や詳細な検証をほとんどなさらない(なぜ「総理のご意向」と書かれた内部文書の存在だけにこだわるのか、もっと雄弁に語る公開された文書はいくらでもあるのに)、政権批判ありきと言われても仕方ないようなそれまでの野党側の追及姿勢にも個人的には疑問を呈さずにはいられません。
ここにきて多少なりとも議論の内容が変わりつつあるにしても、前川氏の人物評価に終始することなどがその最たるものですが、「狐と狸の化かし合い」の様相を呈する、本質論とはかけ離れた議論で終始することを一市民としては危惧しています。
短すぎる審議時間
さて、安倍総理が議長を務め審議の場とされる「国家戦略特別区域諮問会議」ですが、平成26年1月からこれまでの30回開催されています。運営規則を見ると審議内容が非公表になる場合もあるようですが、実際の会議資料を見ると過去非公表の部分はその旨の指摘がキチンとされていて、当初非公開部分を公開との注釈もありますので、現状では全て公開されている状態と思われます。
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会議の時間が長いことが良いとは決して思いませんが、開催要項の日時を見ると最短でわずか16分、最長で51分、平均すると26.4分の諮問会議時間になっています。ここでは獣医学部以外の特区についても議案にのぼりますから、全ての時間を今治あるいは獣医学部の話に費やしているわけではありません。30回開催された会議の中で獣医学部の話が出たのは8回。他22回は獣医という単語すら出てきていません。
審議時間の短さや回数の少なさの問題よりも、その8回のいずれの回にも獣医学の有識者の出席が確認できないことにかなりの違和感を覚えます。獣医師会が仮に獣医学部新設の抵抗勢力であったとしても、獣医学の知見や専門性を排除したまま、世界水準の人獣共通感染症について、そしてそのための獣医学教育について議論の深堀ができるのか?
実際には具体的な検討は諮問会議の下部組織である分科会やワーキング・グループが行うため、そこで出てきた議案を諮問会議で報告のような形で吸い上げ、確認する議事録内容になっています(報告の確認だけなら会議時間は短くて当然)。これで果たして諮問会議で審議が尽くされたと言えるのか? その中でなぜ加計学園になったのか疑問とされても致し方ないのではないでしょうか。
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