コラム

本気度に?が付く立憲・枝野代表の政権構想本

2021年06月25日(金)11時30分

「敵失」をなぜかスルーした枝野氏

だが、枝野氏はこうした点をスルーする。政治的な立場が「リベラル」でも「保守」でもなんでもいいのだが、貧困層を減らし、枝野氏が目指す人々が支え合う社会なるものをつくるためにも、スタンダードなマクロ経済政策は大切であり、適切な政策ブレーンを選ぶ必要がある。

その上で、気になったのは本書に選挙戦略と政権構想がないことだ。後半は実現したい政策の羅列となっていて、与野党で注目されている消費税の減税についても、いかようにでも読める記述がある。それも彼なりに踏み込んだものなのだろう。だが、それでは弱い。

枝野氏はどのような方法で来る衆院選で勝とうとしているのか。仮に首相になったとして、どのようなメンバーで政権を担おうとしているのか。具体的な名前はなくとも、内閣の構想くらいは知りたいのだがどうにも判然としない。政権への本気度はそこで示されるのだが......。

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プロフィール

石戸 諭

(いしど・さとる)
記者/ノンフィクションライター。1984年生まれ、東京都出身。立命館大学卒業後、毎日新聞などを経て2018 年に独立。本誌の特集「百田尚樹現象」で2020年の「編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム賞作品賞」を、月刊文藝春秋掲載の「『自粛警察』の正体──小市民が弾圧者に変わるとき」で2021年のPEPジャーナリズム大賞受賞。著書に『リスクと生きる、死者と生きる』(亜紀書房)、『ルポ 百田尚樹現象――愛国ポピュリズムの現在地』(小学館)、『ニュースの未来』 (光文社新書)など

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