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【ホメない書評】ベストセラー本『1分で話せ』は、「根拠」がないのになぜ売れた?
それにしても、ビジネス畑が長く、Yahoo!アカデミア学長の肩書を持つ著者が、アカデミズムで積み重ねられた知見を軽視したと言わざるを得ない表現を駆使し、「孫社長にも認められた」ことを売りにプレゼン技術を伝授する現象はなかなか興味深い。
グーグルなど世界のトップIT企業は、当然ながら最新の科学分野への研究投資を怠らない。人工知能(AI)分野で注目されているディープラーニングにしても、非ノイマン型と呼ばれる次世代コンピューター開発にしても、脳科学で明らかになっている知見を踏まえている。
極めて残念な事実だが、脳科学というアカデミズムへの敬意の差が、そのまま世界と国内トップクラスのIT企業の差に現れているのでは?そう思い知らされる一冊だった。
<2019年12月3日号掲載>
12月24日号(12月17日発売)は「首脳の成績表」特集。「ガキ大将」トランプは落第? 安倍外交の得点は? プーチン、文在寅、ボリス・ジョンソン、習近平は?――世界の首脳を査定し、その能力と資質から国際情勢を読み解く特集です。
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