コラム

アメリカが「ロシア化」3つのパワーを解放し、世界をリードし続ける

2025年01月29日(水)14時38分

アメリカではトランプのためであれば犯罪をおかしても恩赦されることを示した。

トランプとイーロン・マスクは大幅な予算削減を行う。

これによって、各種規制を行う体制は崩壊し、事業の自由度が増す。

民主主義的価値観の重要性が薄れたおかげで、これまで抑制されてきたテック・オリガルヒによる社会監視、統制システムの開発・販売が可能になる。過去に中国やイスラエルへの監視システム導入を邪魔されたグーグルは喜ぶだろう。

かつてのネット黎明期のようにプライバシーなどの人権への配慮なしにビジネスを広げられる。多大な人命のリスクや人権侵害を孕んだ脳インプラントや宇宙開発ビジネスのパイオニアには貴重なチャンスとなる。


瓦解するEU

残された民主主義国は実質的にEUのみと言っても過言ではない。少なくとも国際的な発言力、影響力があるのはEUのみだ。

EUが修正民主主義化すれば世界は修正民主主義に覆われることになる。残念ながら、このままだと、それも時間の問題だ。中露がEUにデジタル影響工作などの干渉を行い、イーロン・マスクがEU内の極右政党を煽っている状況で持ちこたえるのは難しい。

EUの多くの国ではすでに国内の反主流派の台頭が著しい。非民主主義化した方が国際関係が円滑になり、経済的にも有利であるとなれば国民の判断も揺れるだろう。

その試金石となるのが2025年2月に行われるドイツの総選挙だ。イーロン・マスクが「ドイツを救えるのはAfDだけだ」と、極右政党をプッシュしているのは有名だ。

プロフィール

一田和樹

複数のIT企業の経営にたずさわった後、2011年にカナダの永住権を取得しバンクーバーに移住。同時に小説家としてデビュー。リアルに起こり得るサイバー犯罪をテーマにした小説とネット世論操作に関する著作や評論を多数発表している。『原発サイバートラップ』(集英社)『天才ハッカー安部響子と五分間の相棒』(集英社)『フェイクニュース 新しい戦略的戦争兵器』(角川新書)『ネット世論操作とデジタル影響工作』(共著、原書房)など著作多数。X(旧ツイッター)。明治大学サイバーセキュリティ研究所客員研究員。新領域安全保障研究所。

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