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見直しが始まった誤・偽情報対策 ほとんどの対策は逆効果だった?
Metaは四半期ごとに公開している脅威レポートでパーセプション・ハッキングの危険性について繰り返し、警告しており、一部のロシアの作戦が影響工作そののの効果を狙ったものではなく、その後のパーセプション・ハッキングの効果を狙ったものであった可能性も指摘していた。つまり、以前から一部では影響工作の本質的な脅威は、影響工作そのものよりもそれによって社会に不信と不安が広がることであることはわかっていた。
パーセプション・ハッキングは、ロシアの反射統制理論から導かれる手法ともいえるのだが、わかりにくいこともあり、Meta以外が調査研究することは少なかった。
同様に前回の記事で紹介したデータボイド脆弱性も5年間にわたって放置されたままだった。
アメリカは巨大な幻と戦うのが好きで、国民もそれを受け入れる傾向があるようだ。サイバー攻撃でも当初アメリカは「サイバーパールハーバー」のような大規模攻撃を想定しており、中露の閾値以下の戦いに有効な対処ができなかった。
誤・偽情報、認知戦においても派手で規模の大きな作戦、つまり「民主主義を破壊する」という言葉にふさわしい大規模作戦を想定している。実際、中露はその期待に応えるような目立つ作戦を展開している。しかし、一方ではパーセプション・ハッキングやデータボイド脆弱性のような地味だが効果のある作戦を行っていた。
中露が全領域にわたる戦い、ハイブリッド戦を仕掛けているのだとすれば、その成果は社会全体の状況で測られるべきだろう。民主主義指数が下がり続けている欧米の民主主義陣営は敗色は濃くなるばかりだ。認知戦など個々の作戦の効果測定は難しいが、全体としてはうまくいっていることになる。
中国とロシアには、アメリカの派手好きがわかっており、さらにそれが数年は克服されないことも予測可能だ。どこまでが最初からの計画だったかはわからないが、少なくとも現在欧米の民主主義国が行っている対策や報道は中露を利している可能性が高いことは最近公開されたフォーリン・アフェアーズの記事「Don't Hype the Disinformation Threat」やカーネギー国際平和財団のシニアフェローGavin Wildeの「From Panic to Policy: The Limits of Foreign Propaganda and the Foundations of an Effective Response」など多くの論考で指摘されている。
ではどうすればよいのか?
私は以前からデジタル影響工作などの脅威に対抗する方法は主に2つであり、ひとつは中露インドが構築しつつある統合型の管理社会である。下図のように監視、誘導、評価で徹底した管理を行う。
現在、日本を含む欧米の民主主義はこちらの方向にシフトしている。しかし、いきつくのは民主主義の顔をした権威主義であり、中露イランからすれば戦うことなく民主主義的価値感を駆逐できることになる。
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