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内部告発で暴露されたフェイスブックの管理と責任能力の欠如
フェイスブック・ペーパーが暴露した管理と責任能力の欠如
昨年、17社以上の報道機関が共同でフェイスブック内部資料をもとに同社の実態を暴露した。主たる内容は以前の記事にも書いたコンテンツモデレーションを始めとする不適切な管理に関するものだった。
The Washington Postは一連の報道をまとめて記事を掲載した。問題となる3つの事実とは、「アメリカ大統領後に安全対策を解除した(議事堂への暴徒乱入を招いた可能性)」、「レコメンデーションが有害なコンテンツに誘導していることを知りながら放置してした」、「ヘイトスピーチや偽情報の問題は発展途上国でより悪化している」である。
The Wall Street Journalのフェイスブック・ペーパーの特集ページには17の記事が掲載されているが、優先すべき利用者に対してコンテンツのルールの適用外としてヘイトなどを放置していたことや、発展途上国で麻薬や人身売買の投稿を充分に規制できずにそれらの温床となっていること、他のSNSよりも利用者に悪影響があることを知りながら対処していないこと、そして、家族や友人との交流を優先するアルゴリズムによってこれらの傾向をさらに助長したことなどがあげられている。
また、フェイスブック・ペーパーとは別にThe MarkupではCitizen Browserというプロジェクトでフェイスブックのコンテンツ管理の実態を暴いている。このプロジェクトはアメリカの人口構成に合わせて割り振ったパネルにCitizen Browserを利用してもらい、その利用状況を自動的に収集し、分析するものだ。あらかじめパネルの属性を把握しているため、突っ込んだ分析も行いやすくなっている。くわしい内容については、別途拙ブログにまとめた。
さまざまなフェイスブックの実態が明らかになっている。性別、世代、バイデン支持かトランプ支持かなど属性の違いによって表示されるニュースが大きく異なっており、2021年1月の暴動後にバイデン支持者とトランプ支持者にそれぞれの主張に合うようなニュースのみを表示していた。いわゆるフィルターバブルである。
特定の政治団体を勧めていないというMETA社の主張にもかかわらず、政治団体に誘導していた。同社では透明性を高めるためにアクセスの多いコンテンツを公開しているが、アクセスの頻度は考慮されず1回のアクセスも千回のアクセスも1とカウントしていた(いわゆるリーチ)。そのため大手メディアが上位に来やすくなっていた。Citizen Browserの統計を元に閲覧回数(インプレッション)でランキング取ってみると、複数の右派メディアが上位に食い込んでおり、これを隠すためにインプレッションを使わなかったのではないかと指摘している。
コンテンツ以外には、広告主に対して、不適切なカテゴリーでの広告出稿を可能としていた。閲覧履歴やいいね!やフォロー関係などから、特定の病気を気にしている利用者利用者を狙って広告を表示できるようになっていた。同様の問題は、以前にも指摘されており、エセ科学に興味を示している7,800万人以上を広告ターゲットとしてカテゴリー化していたこともある。それ以外に、陰謀論、ケムトレイル陰謀論、ワクチン疑惑、ユダヤ人差別者、ユダヤ人陰謀論なども広告のカテゴリーになっていたことを以前の記事でご紹介した。
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