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星占いの源流は中東にある、ラッキーアイテムなどなかった
Nebojza-iStock.
<その昔、占星術師は数学の知識や観察力に優れた立派な科学者だった>
きちんと調べたわけではないが、毎朝、仕事に出る時間になると、いろいろなテレビ局で占いを流しているような気がする。星占いなどまったく信じていないのに、自分の星座の運勢がいいと、何となくその日一日気分がいいが、「ゴメンナサーイ、今日もっとも運勢の悪いのは~座のあなた」とかいわれると、一気にドン引きである。
ただ、この種の占いでは、「でもだいじょうぶ」とかいって悪い運勢をカバーしてくれるラッキーアイテム的なものも紹介してくれることが多い。そのアイテムをもっていたり、そこで示された場所にいったりすると、悪い運勢を跳ね返せたり、被害を最小限に食いとめたりできるらしいのだ。
たとえば、この原稿を擱筆した1月24日の某テレビ局の星占いだと、最悪は双子座で、おまじないとして「正座をする」ことが推奨されているほか、「よくかんで食べる」とアドバイスされ、またラッキーポイントが「家族でよく行く店」であるという。
星占い、あるいは占星術は、星の位置から地球上で発生する事象を予想するもので、両者のあいだに何らかの因果関係があることを前提としている。思いっきり単純化すると、星がAという位置にあったときに、Bという事件が発生した。ふたたび星がAという位置にきたときに、またBという事件が起きた。したがって、今度、星がAの位置にくれば、きっとBという事件が起きるであろう、という発想だ。
占星術側が、占星術の正統性を主張するときにしばしば用いる経験科学というレトリックである。経験的事実から実証的に普遍的な法則を導き出し、その普遍的な法則から、今度は未来に起こる事象を予測するというわけだ。
したがって、経験的事実が積み重なれば、予測の精度はそれに比例して高くなるはずである。もちろん、星の位置もより高い精度で観測できるようになっているので、その意味でも、未来予測はより正確になっているだろう(いや、そうでなければならない)。
未来を的中させていた、千年前の占星術師ビールーニーの逸話
現代の占星術、いわゆる西洋占星術の源流は中東にある。古代メソポタミアからエジプトやギリシアに伝わった占星術はイスラーム時代になって偉大な占星術師たちによって集大成された。その代表格が9世紀にバグダードで活躍したイラン系の占星術師アブー・マァシャルであろう(中世ヨーロッパではアルブマサルとして知られている)。
世界史の教科書にも出ているように、イスラーム世界の占星術や天文学がヨーロッパに大きな影響を与えたため、たとえば星の名前などにはアラビア語がいくつも残っているのである。わし座のアルタイルやこと座のベガなどがそうだ(それぞれ日本だとひこ星とおりひめ星)。
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