サイバー詐欺拠点が東南アジアから世界に拡大、国連「重大な岐路」

4月21日、 国連薬物犯罪事務所(UNODC)は、東南アジア発のサイバー詐欺産業が急速にグローバル化し、南米やアフリカにも拡大していると報告した。写真は船でタイに戻る、ミャンマーで詐欺行為に従事させられていた人々。タイ―ミャンマー国境で2月撮影(2025年 ロイター/Krit Phromsakla Na Sakolnakorn)
Poppy McPherson
[バンコク 21日 ロイター] - 国連薬物犯罪事務所(UNODC)は21日、東南アジア発のサイバー詐欺産業が急速にグローバル化し、南米やアフリカにも拡大していると報告した。各国の摘発が進む中でも、犯罪組織は地域を越えて活動を移し、摘発を回避しているという。
近年、東南アジアでは数万人の労働者を収容する大規模な詐欺拠点が多数出現。多くのケースでは人身売買で集められた労働者が、世界中の被害者を標的とする詐欺行為を強要されている。サイバー詐欺産業は国境を越えた移動や密輸の必要なしに世界中に被害を広げられるため、他の国際犯罪よりも急速に拡大している。
タイ、ミャンマー、中国などが取り締まりを強化する一方で、詐欺組織はラオス、カンボジア、アフリカ、東欧などの法の支配が弱い地域に拠点を移している。中でもミャンマーでは内戦の混乱が悪用されているという。
米国だけでも2023年には56億ドル以上の暗号資産(仮想通貨)詐欺被害が報告され、中には高齢者を狙う「ロマンス詐欺」も含まれる。
国連は、今が国際社会にとって「重大な岐路だ」と警告し、各国が連携して犯罪資金の流れを断つ取り組みを強化する必要があると訴えている。