中国のレアアース輸出が凍結状態、海外での不足リスク増大=関係筋

4月11日、中国からレアアース(希土類)7種類の輸出が事実上停止したことが、事情に詳しい関係者3人の話で明らかになった。写真は2020年10月、江蘇省連雲港の港で撮影(2025年 ロイター)
[北京 11日 イター] - 中国からレアアース(希土類)7種類の輸出が事実上停止したことが、事情に詳しい関係者3人の話で明らかになった。中国の輸出業者は政府に輸出承認を申請しているが、申請がいつ認められるかは不透明で、海外でレアアースが不足するリスクが増大している。
関係者の話では、輸出は4日に停止した。中国政府はこの日、トランプ米政権が打ち出した中国製品に対する関税措置への報復措置の一環として、防衛やエネルギー、自動車などの産業で使われる7種類のレアアースを輸出規制の対象にすると発表した。
輸出業者がレアアースを輸出するには中国商務省にライセンスを申請しなければならないが、審査は不透明で認可までに6、7週間から数カ月もの期間を要することがある。
中国のあるレアアーストレーダーは「顧客から(レアアースを積載した)船舶がいつ中国を出港できるのかを聞かれた際、60日後程度と考えられると答えたが、実際にはそれより長くなるかもしれない」と話した。
関係者によると、中国からのレアアース輸出が2カ月以上凍結されれば、典型的な顧客の在庫は枯渇する可能性がある。激化している米中間の貿易戦争を踏まえると、特に米国の顧客向け輸出のライセンスを獲得するのは難しくなりそうだという。
中国は世界のレアアースの約90%を生産している。輸出規制は、世界中のレアアース利用者への供給を断ち切ることを中国がいかに武器化できるかを物語っている。
だが輸出規制は、海外のレアアース輸入業者に中国からの分散化を余儀なくさせることで、長期的には中国のレアアース支配を徐々に崩すことになる公算が大きいという。