米の対外援助凍結、8カ国でHIV治療薬が不足も=WHO

世界保健機関(WHO)は17日、トランプ米政権が国際開発局の事業を削減して対外援助を凍結したことで、エイズウイルス(HIV)感染症治療薬の供給が8カ国において「大きく混乱しており」、近く使い果たす可能性があると発表した。写真はスイスのWHO本部で2025年1月に撮影(2025年 ロイター/Denis Balibouse)
Mariam Sunny Christy Santhosh
[17日 ロイター] - 世界保健機関(WHO)は17日、トランプ米政権が国際開発局(USAID)の事業を削減して対外援助を凍結したことで、エイズウイルス(HIV)感染症治療薬の供給が8カ国において「大きく混乱しており」、近く使い果たす可能性があると発表した。
WHOによると、ハイチ、ケニア、レソト、南スーダン、ブルキナファソ、マリ、ナイジェリア、ウクライナでHIV治療薬が今後数カ月で枯渇する恐れがあるという。
WHOのテドロス事務局長は記者会見で「HIVプログラムの混乱は20年にわたる進展を元に戻しかねない」と述べ、その結果、HIV感染者が1000万人以上、HIV関連の死者が300万人以上それぞれ増える恐れがあると付け加えた。
米国の対外支援凍結により、HIVのほか、ポリオ、マラリア、結核への取り組みが影響を受けている。世界の700カ所余りに拠点を持つWHOの麻疹(はしか)と風疹の世界的な研究ネットワークも閉鎖の危機が迫っているという。折しも米国では、はしかが再び流行しつつある。
テドロス氏は、米国が各国への直接的な資金の提供から手を引くのであれば、代わりの資金源を見つけられるように秩序ある人道的な方法で行う責任があると強調した。