米政権、大気汚染規制見直しへ 火力発電稼働継続目指す

3月12日、トランプ米政権は、国内の石炭火力発電所から排出される温室効果ガスの削減を定めた大気汚染規制を見直す意向だ。一部発電所の現状通りの稼働継続を目指す。写真は米ユタ州にある石炭火力発電所。昨年10月撮影(2025 ロイター/Jim Urquhart)
[12日 ロイター] - トランプ米政権は、国内の石炭火力発電所から排出される温室効果ガスの削減を定めた大気汚染規制を見直す意向だ。一部発電所の現状通りの稼働継続を目指す。
米環境保護局(EPA)は12日、バイデン前政権が策定した温室効果ガス排出制限などに関する基準を見直す計画を明らかにした。トランプ政権は、石炭産業や製造業の活動活発化と国内の石油・鉱物生産の拡大を目指し、規制撤廃の動きを加速させている。
今回の計画は、トランプ大統領が1月20日に署名した大統領令に基づく。エネルギー部門の信頼性に影響を及ぼす措置について、EPAが直接見直すことができる。さらに化石燃料と電力の生産・販売の拡大を図るため、国家エネルギー非常事態を宣言する政府権限も強める。
EPAはバイデン前政権下で、既存の石炭火力発電所の91%が排出基準を満たしており、厳格な規制は適正との認識を示していた。
しかしトランプ現政権は、今後数年に見込まれる国内電力需要の急増に対応するために既存の石炭発電所の稼働を継続させたい意向で、閉鎖している発電所の再稼働もありうると表明している。
米国には約200カ所の石炭火力発電所があり、全土の消費電力の約16%を供給。排出規制が撤廃されれば、モンタナ州のコルストリップ発電所などが最大の恩恵を受けることになる。EPAによると、同発電所は国内で唯一、大気汚染排出をコントロールする最新設備がない。