OPECプラスの増産決定、カザフスタンの記録的な増産も一因に

3月4日、 石油輸出国機構(OPEC)と非加盟の主要な産油国で構成する「OPECプラス」が4月からの増産を決めたのは、カザフスタンの原油生産量が記録的水準になっていることが後押ししたと、情報筋がロイターに明らかにした。写真はカザフ・マンギスタウ州の油田で2023年11月撮影(2024年 ロイター/Turar Kazangapov)
Maha El Dahan
[ドバイ/モスクワ/ロンドン 4日 ロイター] - 石油輸出国機構(OPEC)と非加盟の主要な産油国で構成する「OPECプラス」が4月からの増産を決めたのは、カザフスタンの原油生産量が記録的水準になっていることが後押ししたと、情報筋がロイターに明らかにした。OPECプラスは決定理由の説明でカザフスタンには言及せず、堅調な市場ファンダメンタルズと前向きな見通しを考慮して決めたとしていた。
OPECプラスは4月以降に日量13万8000バレル増産する予定。これまでは世界の原油需要の6%弱に相当する日量600万バレル弱を減産してきたが、今回は減産解消に向けた増産の第一歩となる。
OPECプラスは2022年以来となる増産を決める前に、世界的な原油需要低迷を受けて減産を維持するか、構成国の一部の求めやトランプ米大統領の要求に応じて増産するかで揺れていた。カザフスタンは米石油大手シェブロンがテンギズ油田の大規模な拡張工事を終えた後、目標を大きく上回る過去最高水準の生産をしている。
OPECプラスの情報筋3人はロイターに対し、盟主のサウジアラビアを含めた数カ国のOPEC加盟国はカザフスタンの増産に憤っていると明らかにした。
OPEC本部、サウジアラビア政府の報道担当、ロシアのノバク副首相の事務所はいずれもコメントの要請に直ちには応じなかった。
情報筋3人は、OPECプラスの一部が過剰に生産しているのであれば、生産量の上限を設定し続けることはあまり意味がないとの議論が交わされていると明らかにした。1人は「OPECプラス内部の規律にとって非常に悪いことであり、彼ら(OPECプラス)はカザフスタンに補償するように強く求めるだろう」と語った。
OPECプラスを巡っては各加盟国の生産目標の順守率がこの1年で悪化しており、カザフスタンとイラク、ロシア、アラブ首長国連邦(UAE)の供給過剰はサウジアラビアを苛立たせている。
<トランプ氏の要求は影響せず>
OPECプラスの増産は、トランプ氏がOPECとサウジアラビアに対して原油の価格引き下げを改めて要求した後に決定された。しかし、情報筋はトランプ氏の要求はOPECプラスの協議には影響しなかったとし、増産はUAEやロシアなど一部の構成国に好都合だったと明らかにした。
2人の情報筋は、ロシアはOPECプラスが増産に踏み切れば米国との関係で有利になると考えたと説明した。
RBCキャピタル・マーケッツのヘリマ・クロフト氏は「ロシアは基本的にはOPECと手を切らない一方で、ホワイトハウスと協調しているように見せることができる」と指摘した。
トランプ氏は1月の大統領復帰後にウクライナでの戦闘に対する米国の方針を覆し、戦闘終結を目指してロシアとの交渉を始めた。トランプ氏が和平プロセスの一環としてロシアへの制裁を緩和した場合、ロシアは収入と輸出の増加による恩恵を受けられることになる。
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