中国艦隊のタスマン海での実弾演習、「謝罪する理由ない」=駐豪大使
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中国海軍の艦隊がオーストラリアとニュージーランドの間のタスマン海で先週実施した実弾演習により、少なくとも49便の飛行中の航空機が針路を変更する事態となったことについて中国の肖千駐オーストラリア大使は28日、「中国側が申し訳なく思ったり、謝罪しようと考えたりする理由はないと思う」と訴えた。オーストラリア放送協会(ABC)のニュース番組のインタビューで語った。写真は中国とオーストラリアの国旗。昨年6月の李強首相による豪州訪問時に代表撮影(2025年 ロイター)
[シドニー 28日 ロイター] - 中国海軍の艦隊がオーストラリアとニュージーランドの間のタスマン海で先週実施した実弾演習により、少なくとも49便の飛行中の航空機が針路を変更する事態となったことについて中国の肖千駐オーストラリア大使は28日、「中国側が申し訳なく思ったり、謝罪しようと考えたりする理由はないと思う」と訴えた。オーストラリア放送協会(ABC)のニュース番組のインタビューで語った。
オーストラリアとニュージーランドの両国は、中国海軍から十分な通告がなかったとして中国政府に懸念を表明した。
これに対し、肖氏は中国海軍が国際法に則って実弾演習を実施し、国際慣行に従って事前通告したと主張。「国が異なれば方法も異なり、演習の性質、規模、範囲からすれば中国海軍の認証に関する助言は適切だったというのが私の見解だ」と発言した。
肖氏は、今回の実弾演習は中国の主要貿易相手国となっているオーストラリアにとって脅威にはならないとし、オーストラリア政府は中国の軍艦が今後も航行することを想定すべきだと示唆した。
肖氏は「この地域の大国として、また多くのことの面倒を見ている国として、中国がこの地域のさまざまな場所に艦隊を派遣し、さまざまな活動をするのは普通のことだ」と言い張った。
ニュージーランド国防軍によると、中国海軍の艦隊を構成するフリゲート艦と巡洋艦、補給艦は28日にグレートオーストラリア湾を通り過ぎて西に向かった。
オーストラリアで5月までに実施される総選挙に向けた世論調査で与党の労働党が劣勢に立たされているアルバニージー首相は、今回の実弾演習が国際水域で実施されており、中国は海洋法を犯していないと述べるにとどめた。
これに対し、自由党・国民党の野党保守連合は、オーストラリア国防軍が中国海軍の実弾演習に気づくのが遅れ、民間機のパイロットから警告されて知ったとすれば重大な問題だとの見解を示した。