タイ中銀が0.25%利下げ、成長鈍化と貿易政策巡るリスクに対応

2月26日、タイ中央銀行は政策金利を0.25%ポイント引き下げ2.00%とした。写真は同行のロゴ。1月、バンコクで撮影(2025年 ロイター/Chalinee Thirasupa)
Kitiphong Thaichareon Orathai Sriring
[バンコク 26日 ロイター] - タイ中央銀行は26日、政策金利を0.25%ポイント引き下げ2.00%とした。経済成長の鈍化と、主要国の貿易政策を巡る不透明感によるリスク増大に対応した。
決定は6対1だった。ロイター調査では、エコノミスト26人中10人が利下げ、16人が据え置きを予想していた。
タイ中銀は、昨年10月に0.25%利下げし、12月は据え置いていた。
政府は景気支援と輸出促進に向けたバーツ押し下げを狙い、中銀に一段の緩和を求めていた。
中銀は、利下げは経済見通しに基づいており、主要国の成長鈍化と貿易政策の不確実性を考慮したと説明した。
サッカポップ総裁補は記者会見で政治的圧力に関する質問に対し、政治家や企業経営者と意見交換し、判断の参考にするのは通常のことだとした上で、「今回は経済全体の状況を踏まえて利下げを決定した」と述べた。
今年の経済成長率は2.5%をわずかに上回る可能性があるとの見方を示し、12月時点の2.9%から下方修正した。
サッカポップ氏は見通しが変われば中銀は政策を調整する用意があると述べた。今回の利下げは緩和サイクルの一環ではなく、追加利下げのハードルは高いとの見解を示した。
中銀は声明で「国内需要と観光業の支援にもかかわらず、製造業の生産における構造的な問題や輸入品との競争により、経済成長は予想よりも緩やかなものになる」との見通しを示した。
利下げを決定したのは、「金融状況を経済・インフレ見通しや金融の安定と一致させ、下振れリスクの増大に適切に対処するためだった」と解説した。
中銀の決定を受けて主要株価指数は一時2%高となった。通貨バーツは0.2%上昇した。
中銀は利下げが金融の安定に影響することはなく、総合インフレ率は中銀の目標レンジ(1─3%)内にとどまる見込みとした。サッカポップ氏は今年の総合インフレ率が1.1%、来年は1.2%になるとの見通しを示した。
ピチャイ財務相は24日、インフレ率が低いことから、中銀が利下げして経済を後押しし、輸出促進に向けバーツを押し下げる余地があると述べた。
昨年の平均インフレ率は0.4%で目標レンジを大きく下回った。1月は1.32%で前月に続きレンジ内に収まった。
キャピタル・エコノミクスのシニアエコノミスト、ゲーリー・レザー氏は顧客向けメモで、タイの成長見通しに対する下振れリスクは高まっているが、中銀の金融緩和サイクルは段階的なものになるとの見方を示した。
「経済の弱さがインフレに下押し圧力をかけている。しかし、デフレが定着するリスクがあり、さらなる金融政策支援が必要になるだろう」と指摘した。政策金利は来年1.50%まで引き下げられ、利下げは終了すると予想した。