ニュース速報
ワールド

中国・珠海の車暴走事件、当局が現場の献花など撤去 取材も制限

2024年11月13日(水)16時44分

中国南部の広東省珠海市で11日夜に自動車が暴走し、大勢の人をはねた事件を巡り、中国指導部は、負傷した人々の治療に「全力を尽くす」よう求めた。写真は11月12日、珠海市で撮影(2024年 ロイター/Tingshu Wang)

[珠海(中国) 13日 ロイター] - 中国南部の広東省珠海市で自動車が暴走して大勢の人をはねた事件で、当局は13日、事件現場に供えられていた花輪やろうそくなどを撤去した。

事件は11日夜、離婚調停に腹を立てた男がスポーツセンター周辺で運動していた人々に車で突っ込み、35人が死亡、43人が負傷した。

事件を受け、中国のソーシャルメディア上では、政府の対応の遅さへの不満や、相次ぐ凶悪事件の国民の心理的な影響を懸念する声などが投稿されたが、当局にすぐに削除されている。

中国の短文投稿サイト運営、微博(ウェイボ)は、死者数に言及したハッシュタグを検閲した。

事件現場周辺は立ち入りが制限され、警備員も配置されたが、13日も生花を配達するバイク便の姿が複数あった。

当初、花を手向ける人々への取材が許されていたが、その後、数名の警備員が記者に対し、取材や献花に添えたメッセージの撮影をしないよう伝えてきた。

国営の中国中央テレビ(CCTV)は、昼の30分間のニュースでこの事件に触れなかった。代わりに、習近平国家主席がアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に出席するためペルーに向けて出発したことを伝え、放送時間の一部を珠海市で開催中の中国最大の航空ショーに割いた。

他の国営メディアも、習主席のペルー訪問のニュースを大きく扱った。

今回の事件と航空ショーとの関連を示す兆候はない。

香港浸会大学で中国の検閲を研究しているローズ・ルーチー氏は、珠海での情報規制の仕方は中国で死者が多数出た他の事件と一致していると指摘。

「こうした事件は全て、情報をコントロールするために検閲される。検閲は普通のことだ。警察の声明が唯一の公式説明となり、人々がそれに異議を唱えたり、議論したりすることは許されない」と述べた。

「目的はパニックを抑えることだと思う。日本人学校に通う男子児童が刺殺された事件のような過去の事例と同様、模倣行為を防止しようとしている」と分析した。

珠海の事件に日本人が巻き込まれた形跡はないが、北京の日本大使館は12日、中国に住む日本人に対し、日本語で話すときは声を小さくし、夜間の外出を避けるよう求める文書を発表した。

新華社が12日夜に報じたところによると、習近平国家主席と李強首相は、地元当局に負傷者の治療と事件の調査を開始するよう指示した。

ロイター
Copyright (C) 2024 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

EUの生産性低迷、背景に国境越える課題 IMFが米

ワールド

インタビュー:日銀の利上げ、段階的に1%までは「許

ビジネス

日経平均は3日続落、トランプ警戒くすぶる 半導体株

ビジネス

みずほFG、発行済み株式の1.9%・1000億円上
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:またトラ
特集:またトラ
2024年11月19日号(11/12発売)

なぜドナルド・トランプは圧勝で再選したのか。世界と経済と戦争をどう変えるのか

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 2
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国」...写真を発見した孫が「衝撃を受けた」理由とは?
  • 3
    NewJeansのミン・ヒジン激怒 「似ている」グループは企画案から瓜二つだった
  • 4
    本当に「怠慢」のせい? ヤンキース・コールがベース…
  • 5
    建物に突き刺さり大爆発...「ロシア軍の自爆型ドロー…
  • 6
    ロシア陣地で大胆攻撃、集中砲火にも屈せず...M2ブラ…
  • 7
    中国の言う「台湾は中国」は本当か......世界が中国…
  • 8
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 9
    トランプ再選を祝うロシアの国営テレビがなぜ?笑い…
  • 10
    ウクライナ軍ドローン、1000キロ離れたロシア拠点に…
  • 1
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 2
    「歌声が聞こえない」...ライブを台無しにする絶叫ファンはK-POPの「掛け声」に学べ
  • 3
    ウクライナ軍ドローン、1000キロ離れたロシア拠点に突っ込む瞬間映像...カスピ海で初の攻撃
  • 4
    「遮熱・断熱効果が10年持続」 窓ガラス用「次世代…
  • 5
    「トイレにヘビ!」家の便器から現れた侵入者、その…
  • 6
    本当に「怠慢」のせい? ヤンキース・コールがベース…
  • 7
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 8
    後ろの女性がやたらと近い...投票の列に並ぶ男性を困…
  • 9
    海上自衛隊のヘリコプター搭載護衛艦「空母化」、米…
  • 10
    NewJeansのミン・ヒジン激怒 「似ている」グループは企…
  • 1
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大きな身体を「丸呑み」する衝撃シーンの撮影に成功
  • 2
    秋の夜長に...「紫金山・アトラス彗星」が8万年ぶりに大接近、肉眼でも観測可能
  • 3
    死亡リスクはロシア民族兵の4倍...ロシア軍に参加の北朝鮮兵による「ブリヤート特別大隊」を待つ激戦地
  • 4
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 5
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
  • 6
    大破した車の写真も...FPVドローンから逃げるロシア…
  • 7
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴…
  • 8
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 9
    予算オーバー、目的地に届かず中断...イギリス高速鉄…
  • 10
    韓国著作権団体、ノーベル賞受賞の韓江に教科書掲載料…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中