サムスン、印工場の労使対立深刻化 警察が従業員104人一時拘束

インド警察はサムスン電子の工場で低賃金に抗議してストライキ中の労働者104人を拘束した。写真は工場の労働者。11日チェンナイ近郊で撮影(2024年 ロイター/Praveen Paramasivam)
Praveen Paramasivam Rishika Sadam
[チェンナイ 16日 ロイター] - インド警察は16日、無許可で許可なくデモ行進を計画していたとしてストライキ中のサムスン電子工場従業員104人を拘束した。同日夜に大半が釈放されたが、労働者団体は警察の対応を非難。サムスンの労使対立が深刻化し、インド事業への影響が広がる恐れがある。
サムスンはインドに2つの生産拠点を持つ。ストを実施していたのは、南部タミルナド州の州都チェンナイ近郊の家電工場で賃上げや労働組合の承認を求めて9日からストを実施していた。従業員1800人のうち1000人がストに参加、サムスンのインドでの年間売上高120億ドルの約3分の1を占める生産に支障が出ていた。
地元の警察幹部は、労働者らは16日に抗議デモを開始する予定だったが、その地域には学校や大学、病院があるため許可が下りず拘束されたと話した。ストを支援しているインド労働組合センター(CITU)関係者は、拘束された従業員が3人を除いて同日夜に釈放されたと明らかにした。CITUのタミルナド州幹部は、警察の措置を非難した。
拘束者が出たにもかかわらず、州の与党系列の組合も含む12の労組がサムスン工場のストを支持する抗議活動を18日に実施することにしている。
<サムスンに試練>
今回のストは、重要な成長市場であるインドでサムスンが直面する試練を一段と厳しくしている。
サムスンは、CITUといった全国的な労働団体が支援する労組の承認に消極的で、労働者や州政府側との協議は打開の糸口が見えない状態。
さらに同社は一部事業で海外要員を最大30%削減する計画で、インドも対象に入る。
サムスンの労使問題は、モディ首相の産業政策「メーク・イン・インディア」にも影を落としている。