ニュース速報
ワールド

スペインなど3カ国、パレスチナ国家を正式承認 EU諸国の追随期待

2024年05月29日(水)07時34分

Inti Landauro Conor Humphries Gwladys Fouche

[マドリード/ダブリン/オスロ 28日 ロイター] - スペイン、アイルランド、ノルウェーは28日、パレスチナを国家として正式に承認した。3カ国はパレスチナ自治区ガザにおけるイスラエルとイスラム組織ハマスの戦闘休止に向けた取り組みを加速させたいとし、他の欧州連合(EU)諸国による追随を期待するとした。

スペインのサンチェス首相は、東エルサレムを首都とし、パレスチナ自治政府の下に統一されたガザ地区とヨルダン川西岸地区を含むパレスチナ国家を承認すると表明。テレビ演説で、パレスチナを国家として承認することは、イスラエルとパレスチナの和平達成という目的に向けた歴史的な決定だとしたほか、全ての当事者が同意しない限り、1967年以降のパレスチナ国境のいかなる変更も承認しないと述べた。

スペインのアルバレス外相によると、これにより国連加盟193カ国のうち146カ国がパレスチナ国家を承認したことを意味する。

アイルランドのハリス首相は声明で「われわれは和平プロセスの最後にパレスチナを承認したいと考えていたが、平和の奇跡を存続させるためにスペインとノルウェーとともにこの措置を取った」と述べた。

一方、イスラエルのカッツ外相はXでサンチェス首相に対し「あなたがパレスチナ国家を承認すれば、ユダヤ人に対するジェノサイド(大量虐殺)の扇動と戦争犯罪に加担することになる」と非難した。

スペイン、アイルランド、ノルウェーは先週、パレスチナを28日付で国家として承認すると発表していた。

<スロベニアも承認へ、デンマーク議会は否決>

EU加盟27カ国のうち、スウェーデン、キプロス、ハンガリー、チェコ、ポーランド、スロバキア、ルーマニア、ブルガリアはすでにパレスチナ国家を承認している。スロベニアは30日に承認する見込みで、マルタも追随する可能性があると表明している。

英国とオーストラリアも承認を検討しているとしているが、EU加盟国のフランスは今はその時ではないとし、ドイツもイスラエルの最も強固な同盟国である米国と共に一方的なアプローチを拒否し、2国家解決は対話を通じてのみ達成できると主張している。

デンマーク議会は28日、パレスチナ国家承認法案を否決した。

蘭ユトレヒト大学のクシュトリム・イストレフィ教授(法学)は「将来的に再び新たな承認の波がやってくるかもしれない。承認が増えれば増えるほど、国際法上の観点から2国家解決が現実味を帯びてくる」と語った。

ロイター
Copyright (C) 2024 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

大企業の景況感はまちまち、非製造業は価格転嫁で改善

ビジネス

米CVS、小売り事業と保険事業への会社分割を検討=

ワールド

中絶禁止の米ジョージア州法、州裁判所が差し止め

ワールド

米印、重要鉱物に関する協定に署名へ=関係者
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:大谷の偉業
特集:大谷の偉業
2024年10月 8日号(10/ 1発売)

ドジャース地区優勝と初の「50-50」を達成した大谷翔平をアメリカはどう見たか

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ウクライナ軍、ドローンに続く「新兵器」と期待する「ロボット犬」を戦場に投入...活動映像を公開
  • 2
    欧州でも「世紀の豪雨」が町を破壊した...100年に1度の記録的大雨「ボリス」
  • 3
    エコ意識が高過ぎ?...キャサリン妃の「予想外ファッション」に世界が驚いた瞬間が再び話題に
  • 4
    年収600万円、消費者金融の仕事は悪くなかったが、債…
  • 5
    「石破首相」を生んだ自民党総裁選のダイナミズムと…
  • 6
    ワーテルローの戦い、発掘で見つかった大量の切断さ…
  • 7
    南洋のシャチが、強烈な一撃でイルカを「空中に弾き…
  • 8
    朝日新聞の自民党「裏金」報道は優れた「スクープ」…
  • 9
    ジェットスキーのロシア兵を、FPVドローンが「排除」…
  • 10
    谷間が丸出し、ボディライン丸わかり...カイリー・ジ…
  • 1
    漫画、アニメの「次」のコンテンツは中国もうらやむ日本の伝統文化? カギは大手メディアが仕掛ける「伝検」
  • 2
    エコ意識が高過ぎ?...キャサリン妃の「予想外ファッション」に世界が驚いた瞬間が再び話題に
  • 3
    ウクライナ軍、ドローンに続く「新兵器」と期待する「ロボット犬」を戦場に投入...活動映像を公開
  • 4
    ワーテルローの戦い、発掘で見つかった大量の切断さ…
  • 5
    白米が玄米よりもヘルシーに
  • 6
    50年前にシングルマザーとなった女性は、いま荒川の…
  • 7
    中国で牛乳受難、国家推奨にもかかわらず消費者はそ…
  • 8
    メーガン妃に大打撃、「因縁の一件」とは?...キャサ…
  • 9
    キャサリン妃の「外交ファッション」は圧倒的存在感.…
  • 10
    【クイズ】「バッハ(Bach)」はドイツ語でどういう…
  • 1
    「LINE交換」 を断りたいときに何と答えますか? 銀座のママが説くスマートな断り方
  • 2
    エリート会社員が1600万で買ったマレーシアのマンションは、10年後どうなった?「海外不動産」投資のリアル事情
  • 3
    「まるで別人」「ボンドの面影ゼロ」ダニエル・クレイグの新髪型が賛否両論...イメチェンの理由は?
  • 4
    森ごと焼き尽くす...ウクライナの「火炎放射ドローン…
  • 5
    「もはや手に負えない」「こんなに早く成長するとは.…
  • 6
    中国の製造業に「衰退の兆し」日本が辿った道との3つ…
  • 7
    漫画、アニメの「次」のコンテンツは中国もうらやむ…
  • 8
    国立西洋美術館『モネ 睡蓮のとき』 鑑賞チケット5組…
  • 9
    北朝鮮、泣き叫ぶ女子高生の悲嘆...残酷すぎる「緩慢…
  • 10
    死亡リスクが低下する食事「ペスカタリアン」とは?.…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中