習主席、ベトナムに協力拡大呼びかけ 14日から東南アジア歴訪

中国の習近平国家主席(写真)は14日から訪問するベトナムに対し、産業と供給網(サプライチェーン)における協力強化と新たな分野における広範な協力を呼びかけた。3月28日、北京で撮影(2025年 ロイター/Florence Lo)
Francesco Guarascio Liz Lee
[ハノイ/北京 14日 ロイター] - 中国の習近平国家主席は14日から訪問するベトナムに対し、産業と供給網(サプライチェーン)における協力強化と新たな分野における広範な協力を呼びかけた。
習主席は東南アジア3カ国歴訪の最初の訪問国として、15日までベトナムを訪れる。
習氏はベトナム共産党機関紙「ニャンザン」に寄稿。東アジア協力や瀾滄江・メコン川協力などの地域事業を通じた協調や協力の強化を訴え、「混沌かつ絡み合った世界に、より安定と前向きなエネルギーを注入する」ために、そうした取り組みが必要だと述べた。
さらに「貿易戦争や関税戦争に勝者はなく、保護主義には出口がない」とし、「われわれは多国間貿易システムをしっかりと守り、世界の産業とサプライチェーンの安定を維持し、開かれた協力のための国際環境を維持しなければならない」とした。
中国がベトナムからの高品質な輸入拡大を歓迎し、より多くの中国企業が東南アジアに投資し、事業を始めることを促すとも述べた。
両国が協力を拡大すべき新分野として高速通信規格「5G」、人工知能(AI)、グリーン開発などに言及している。
習氏のハノイ訪問はこの1年半足らずで2度目。第1次トランプ米政権が課した関税を避けるため中国に拠点を置く製造業者が南下する中、ここ数年で数十億ドル規模の中国投資を受けたベトナムとの関係を強化する狙いがある。
ベトナムのブイ・タイン・ソン副首相が12日に明らかにしたよころによると、中越両国は複数の分野で約40の協定に署名する予定。14日に国営メディアに掲載された記事によると、ベトナムのラム国家主席は防衛、安全保障、鉄道網を中心とするインフラにおける協力を強化したいと述べた。
ベトナム税関のデータによると、今年1─3月に中国から約300億ドル相当のモノを輸入した一方、米国への輸出額は314億ドル。中国からの輸入額が米国への輸出額と密接に連動するという長期トレンドが確認された。