ヘッジファンド、関税停止による株価急騰に便乗できず

4月10日、世界の株式に投資する「ロング・ショート戦略」のヘッジファンドは9日、トランプ米大統領が「相互関税」の一部を90日間停止すると発表した後の米国株急騰にほとんど便乗できなかった。写真は10日、ニューヨーク証券取引所で撮影(2025年 ロイター/Jeenah Moon)
[ニューヨーク 10日 ロイター] - 世界の株式に投資する「ロング・ショート戦略」のヘッジファンドは9日、トランプ米大統領が「相互関税」の一部を90日間停止すると発表した後の米国株急騰にほとんど便乗できなかった。
モルガン・スタンレーの集計によると、9日に同戦略のヘッジファンドの上昇率は0.98%にとどまったのに対し、S&P総合500種株価指数は9.5%上昇した。米国のヘッジファンドは2.28%上昇したが、やはりS&P総合500種の上昇率を下回った。
意表を突く関税停止を受けた株価の急騰は、売り持ち高(ショート)を増やしていたヘッジファンドには痛手となった。
ゴールドマン・サックスによると、ヘッジファンドの株取引は先週、ここ約15年間で最大の売り越しで、投資姿勢は2011年以降で最も弱気になっていた。
ヘッジファンドは買い持ち高(ロング)を縮小していたため、株価急騰の恩恵を大きくは享受できなかった。
ヘッジファンド調査会社ピボタルパスのジョン・カプリス最高経営責任者(CEO)は「(9日の)市場の動きの一部は、トランプ氏の90日間停止発表を受けて、ヘッジファンドがショートをカバーしたことによるものだ」と述べた。
それでもロング・ショート戦略のヘッジファンドは年初来で見ると、S&P総合500種をアウトパフォームしている。年初から4月10日までの期間に、同戦略のグローバルファンドは3.14%下落、米国ファンドは4.07%下落した。これに対しS&P総合500種は6.9%の下落となっている。