ノルウェー政府系ファンド、年初来の損失1000億ドルに 長期の投資戦略を維持

4月10日、ノルウェー政府は世界最大の政府系投資基金である同国の政府系ファンド(SWF)が今年に入ってから大幅な損失を出しているものの、リスク分散などの長期的な投資戦略を今後も維持すると表明した。写真は2017年5月、オスロの金融街付近で撮影(2025年 ロイター/Ints Kalnins)
[オスロ 10日 ロイター] - ノルウェー政府は10日、世界最大の政府系投資基金である同国の政府系ファンド(SWF)が今年に入ってから大幅な損失を出しているものの、リスク分散などの長期的な投資戦略を今後も維持すると表明した。
ノルウェー財務省が議会に提出した年次報告書によると、世界の上場株式の約1.5%を保有する同国SWFは、資産価格の急落により年初以降で約1兆1000億クローネ(1013億8000万ドル)の損失を出した。二転三転するトランプ米政権の関税政策を背景に、世界の金融市場は乱高下している。
SWFは昨年、過去最高となる2220億ドルの利益を計上したものの、高いリターンは永続しないとの警告を繰り返し発してきた。
ストルテンベルグ財務相は声明で「戦略を突然変えたり、浅はかな決定を下したりすることは避けなければならない」とした上で、「予測不可能の度合いが大きく高まっている時期には、幅広いリスク分散が引き続き最善のアプローチになる」と説明した。
政府はまた、SWFが資産運用の複雑さを軽減するため、一部の小規模企業をポートフォリオから除外する長期目標の達成を引き続き目指すと表明した。SWFは現座、9000を超える企業の株式を保有している。
政府は、世界の主要武器メーカーの多くに対する投資を禁じているSWF倫理規定の変更を提案しなかった。ノルウェーではここ数カ月、この規定の撤廃が政治的な議論の的となっている。
SWFは資産の約70%を株式に、約25%を債券に、残りを不動産と再生可能エネルギーインフラにそれぞれ投資している。