インタビュー:日銀利上げ「すべきでない」、米関税で市場動揺=篠原元財務官

4月8日 元財務官の篠原尚之氏(写真)は8日、日銀金融政策を巡り、「トランプ関税」に伴う市場の動揺が収まらないうちは「利上げはできないし、すべきではない」との見方を示した。写真は2014年2月、ウルグアイの首都モンテビデオで撮影(2025年 ロイター/Andres Stapff)
Leika Kihara
[東京 8日 ロイター] - 元財務官の篠原尚之氏は8日、日銀金融政策を巡り、「トランプ関税」に伴う市場の動揺が収まらないうちは「利上げはできないし、すべきではない」との見方を示した。ロイターとのインタビューで語った。
篠原氏は「実質金利は依然非常に低く、名目金利は本来もう少し上げていくことが望ましい」と述べ、正常化に向けた日銀の姿勢そのものには理解を示した。
一方、市場のボラティリティ(変動率)が高まる中での利上げに否定的な見解を表明。「今は円安が問題という論調が多いが、円高が進めば、財界中心に問題視する声が高まるだろう」とも述べた。
篠原氏は、財務官退官後の2010年から国際通貨基金(IMF)の副専務理事を5年間務め、100年に1度とされる金融危機の事後処理を担った。
財務官在任中の2007年からの2年間は、欧州金融不安などを背景とする円高にも見舞われた。
トランプ関税に伴う影響について、篠原氏は「一番気にすべきなのは米経済」と強調。日本経済への影響が過小評価されたリーマン危機時を振り返り、「日本経済は対米依存から脱却していない。米経済が落ち込むと、輸出依存度の高い日本経済はダメージが非常に大きくなってしまう」と指摘した。
トランプ米大統領が貿易赤字の削減に強い意欲を示す中、ドル高是正に向けた国際協調の思惑が市場で浮上していることに関しては「もしできるとしたら面白いかもしれない」と語った。
ただ、相互関税に報復で応じた中国や、対抗策を模索する欧州連合(EU)の理解を得るには隔たりもあり、「関税でこれだけ対立して合意は難しいだろう」との認識を示した。