ニュース速報
ビジネス

EU、米国への対抗関税第1弾を数日以内に発表へ

2025年04月07日(月)08時12分

 トランプ米大統領が発表した欧州連合(EU)加盟国からの輸入品への関税強化に対抗するため、EUが最大で280億ドル相当の米国からの輸入品に対する報復関税の第1弾を数日以内に発表することを目指している。写真は、スペインのサンタンデール港で輸出を待つ車。3月27日、スペインのサンタンデールで撮影(2025年 ロイター/Vincent West)

[ブリュッセル 6日 ロイター] - トランプ米大統領が発表した欧州連合(EU)加盟国からの輸入品への関税強化に対抗するため、EUが最大で280億ドル相当の米国からの輸入品に対する報復関税の第1弾を数日以内に発表することを目指している。

EU欧州委員会は7日夜に追加関税を課す米国からの輸入品のリストを加盟国に提案し、この中には食肉や穀物、ワイン、木材、衣料品、チューインガム、デンタルフロス、掃除機、トイレットペーパーなどが含まれる予定だ。

この報復関税について欧州議会で9日に承認を求める。承認された場合には導入は2段階に分けられ、一部の品目には15日から適用し、残りは1カ月後に採り入れる。

米国からの輸入品への報復関税を既に表明している中国やカナダにEUも加わることで、世界的な貿易戦争に発展して数十億人の消費者が物品の値上がりのつけを払い、世界経済が不況に陥ることが懸念されている。

トランプ氏は2日、EU27カ国の加盟国から輸入する鉄鋼とアルミニウム、自動車に25%、他のほぼすべての物品に20%の「相互関税」を課すと発表。これは昨年に5320億ユーロ(5850億ドル)に上ったEUの対米輸出の約70%に相当し、銅や医薬品、半導体、木材への関税も今後課される公算が大きい。

EU加盟国内では意見が割れており、焦点となっているのが米国産バーボンウイスキーへの輸入関税の取り扱いだ。EUが50%の関税を課す方針を表明しているのに反発するトランプ氏は、導入された場合にはEUからの輸入アルコール飲料に200%の対抗関税をかけると脅している。ワイン輸出国であるフランスとイタリアは懸念を表明している。

また、米国からの輸入関税への対応でも加盟国間で意見が分かれており、フランスは関税をはるかに超える報復措置を導入すべきだと主張。フランスのマクロン大統領は「事態が明確になるまで」欧州企業が米国への投資を停止すべきだと提案した。

輸出先の約3分の1を米国が占めるアイルランドは「熟慮された、慎重な」対応を求め、EU加盟国で3番目の対米輸出国となっているイタリアは報復すべきかどうかに疑問を呈している。

あるEU加盟国の外交官は「バランスを取るのが難しい。米国を交渉の席に着かせるためには弱腰すぎる対応はできないが、エスカレートさせるような強硬過ぎる措置でもいけない」と語った。

今のところ、トランプ氏の関税強化を巡る米国とEUの通商交渉は実を結んでいない。

ロイター
Copyright (C) 2025 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

インド中銀が政策金利0.25%引き下げ、2会合連続

ワールド

ウクライナ戦争はアジアの安保に影響、NATO事務総

ビジネス

中国証券大手、市場安定化へ協調 企業も株買い支え

ビジネス

アングル:韓国中銀により大幅な利下げの圧力、トラン
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプ関税大戦争
特集:トランプ関税大戦争
2025年4月15日号(4/ 8発売)

同盟国も敵対国もお構いなし。トランプ版「ガイアツ」は世界恐慌を招くのか

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    公園でひとり歩いていた老犬...毛に残された「ピンク色」に心打たれる人続出
  • 2
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 3
    「吐きそうになった...」高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及んでる...インド人男性の投稿にSNSで怒り爆発
  • 4
    【クイズ】ペットとして、日本で1番人気の「犬種」は…
  • 5
    これが中国の「スパイ船」...オーストラリア沖に出現…
  • 6
    反トランプのうねり、どこまで大きくなればアメリカ…
  • 7
    流石にこれは「非常識」?...夜間フライト中に乗客が…
  • 8
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 9
    ロシア黒海艦隊をドローン襲撃...防空ミサイルを回避…
  • 10
    毛が「紫色」に染まった子犬...救出後に明かされたあ…
  • 1
    ひとりで海にいた犬...首輪に書かれた「ひと言」に世界が感動
  • 2
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 3
    公園でひとり歩いていた老犬...毛に残された「ピンク色」に心打たれる人続出
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 6
    ロシア黒海艦隊をドローン襲撃...防空ミサイルを回避…
  • 7
    【クイズ】日本の輸出品で2番目に多いものは何?
  • 8
    5万年以上も前の人類最古の「物語の絵」...何が描か…
  • 9
    紅茶をこよなく愛するイギリス人の僕がティーバッグ…
  • 10
    「吐きそうになった...」高速列車で前席のカップルが…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    ひとりで海にいた犬...首輪に書かれた「ひと言」に世界が感動
  • 3
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 4
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の…
  • 5
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    公園でひとり歩いていた老犬...毛に残された「ピンク…
  • 8
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 9
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 10
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中