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トランプ関税に対抗措置警告、貿易戦争拡大か 米で価格上昇懸念

2025年04月04日(金)10時11分

 4月3日、トランプ米大統領(写真)による包括的な関税措置発表を受け、貿易相手国は、対抗措置を警告するとともに、世界貿易への打撃に懸念を示した。4月2日、ワシントンで撮影(2025年 ロイター/Leah Millis)

Jeff Mason David Ljunggren Andy Sullivan

[ワシントン/オタワ 3日 ロイター] - トランプ米大統領による包括的な関税措置発表を受け、貿易相手国は3日、対抗措置を警告するとともに、世界貿易への打撃に懸念を示した。米国内ではさまざまな商品が大きく値上がりするとの懸念が高まっている。

米国が2日発表した相互関税は、過去100年余りで最も高い貿易障壁に相当する。全ての輸入品に一律10%の基本税率を課した上で、国・地域別に税率を上乗せするため、米消費者にとってはランニングシューズからアップルのiPhoneまであらゆるものの価格が跳ね上がる可能性がある。

カナダのカーニー首相は、米国の関税に対する限定的な報復措置を発表し、トランプ氏の保護主義的な動きは世界貿易にとり「悲劇」という認識を示した。米国がこれまで果たしてきた国際経済協力の擁護者としての役割を放棄したとし、「世界経済は昨日とは根本的に異なるものになった」と述べた。

中国政府は米国に最新の関税措置を直ちに撤回するよう求めるとともに、自国の利益を守るために対抗措置を取ると宣言。欧州連合(EU)も対抗措置を準備しているとした。

フランスのマクロン大統領は、欧州企業に対し計画中の米国への投資を差し止めるよう呼びかけた。

韓国やメキシコ、インドなどは譲歩を求める中、当面は対抗措置を保留するとしている。

米国の同盟国もライバル国も、世界貿易への壊滅的な影響を警告した。米国の関税は、47%の税率を賦課されるマダガスカルのような低所得国が特に大きな打撃を受ける可能性がある。

EUのフォンデアライエン欧州委員長は「世界中の何百万もの人にとって悲惨な結果になる」と警告した。

ラトニック米商務長官とナバロ大統領上級顧問は3日のテレビ番組で、トランプ氏が関税措置を撤回することはないとし、関税引き上げは交渉戦術ではないと述べた。

一方、トランプ氏は記者団に「関税はわれわれに大きな交渉力を与えてくれる。常にそうだった。私は1期目にそれを非常にうまく利用したが、今それを全く新しいレベルに引き上げている。なぜなら、今回は世界的な状況だからだ」と発言。関税が恒久的なのか、あるいは譲歩を勝ち取るための戦術なのか、相反するメッセージを発した。

キャピタル・アルファの創業パートナー、ジェームズ・ルシエ氏は「関税計画は熟慮されたものではないようだ。貿易交渉は高度に技術的な分野で、われわれの見解では、これらの提案はいかなる国との交渉にも真剣な土台を提供しない」と述べた。

関税が世界の供給網を根底から覆し、企業収益に打撃を与えるとの懸念から、各国で株式市場が急落に見舞われた。

米国ではダウ工業株30種が約4%、S&P総合500種が5%近く下落し、2020年6月以来の大幅な下落率を記録。ナスダック総合は約6%下落し、新型コロナウイルス感染拡大で世界的に市場が混乱した20年3月以来の大幅な下げとなった。

トランプ氏は金融市場が「好調」に回復すると予想した。政府当局者の間では、株価下落は「かんしゃく」との見方や、政権は日々の市場の動きではなく、中長期的な視点に立っているとの声が聞かれた。

アナリストは関税がアジアの同盟国を遠ざけ、中国抑止に向けた戦略的努力を台無しにする可能性があるとも指摘している。

トランプ氏は主要な米軍基地がある日本に24%、韓国に25%の関税を課す計画だ。また、中国が軍事的圧力を強める台湾には32%の関税を課す。

ロイター
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