FRB金融政策「適切」、不確実性高い状況に対応可能=NY連銀総裁

米ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁は21日、経済見通しが不確実な環境の中で、連邦準備理事会(FRB)の現時点の金融政策は適切な位置にあるとの考えを示した。2024年5月30日撮影(2025年 ロイター/Andrew Kelly)
Michael S. Derby
[21日 ロイター] - 米ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁は21日、経済見通しが不確実な環境の中で、連邦準備理事会(FRB)の現時点の金融政策は適切な位置にあるとの考えを示した。
同時に、トランプ米政権が掲げる関税措置などの通商政策が物価や経済成長に及ぼす影響の検証は簡単ではないとし、影響を把握するには、実際にどのように政策が変更され、どのような性質の政策になるかなどを知る必要があると述べた。
ウィリアムズ総裁はバハマで行った講演で「金融政策には一定の不確実性がある」とした上で、労働市場が堅調に推移する中、インフレ率がFRBが目標とする2%をなお若干上回っていることを踏まえると、現在のやや引き締め的なスタンスは完全に適切と指摘。こうしたスタンスにより、最大雇用と物価安定という2つの責務の達成に影響を及ぼす可能性のある状況の変化に対応が可能になるとの考えを示した。
ただ、FRBの今後の政策についての具体的な見通しは示さなかった。
米経済の展望については、移民の減少が一因となり経済成長が鈍化する可能性があると予想。ただ「経済の進展を正確に把握することは難しい」とし、「不確実性が高く、財政、通商政策のほか、地政学的要因などの展開次第で多くのシナリオが想定される」と述べた。
物価情勢については「新型コロナウイルスによるパンデミック(世界的大流行)前と比べて、インフレ期待が不安定になっている兆候は出ていない」と指摘。過去2カ月で短期的なインフレ期待が幅広く上昇する明確な兆候が見られたものの、長期的なインフレ期待には影響は及んでいないとし、「物価に対する衝撃は向こう数年間で徐々に減退していくと予想されていることを示している」と述べた。