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日産あす取締役会、内田社長の進退協議 タイミングや後任焦点

2025年03月10日(月)18時15分

 日産自動車は3月11日に取締役会を開く見通しで、新たな経営体制を協議する。写真は同社のロゴ。ニューヨークで2023年4月撮影(2025年 ロイター/David 'Dee' Delgado)

Maki Shiraki

[東京 10日 ロイター] - 日産自動車は11日に取締役会を開く見通しで、新たな経営体制を協議する。複数の関係者によれば、業績悪化の責任を問われている内田誠社長の退任は濃厚で、焦点は退任のタイミングと後任人事。後任として名前が挙がる現役員らにも経営責任を問う声があり、議論がまとまらない可能性もある。

同関係者らによると、日産社内では業績悪化を招いた内田社長の責任は重く、退任は避けられないとの見方が多くを占めている。自身も2月13日の決算会見で、「内田はもう必要ないと言われれば、(社長に)しがみつくことはない」と語った。

内田氏は2019年12月、中国事業のトップを経て社長に就任。カルロス・ゴーン元会長が18年に金融商品取引法違反の容疑で逮捕されて社内が混乱し、業績不振が続く中で誕生したのが内田体制だった。内田社長はこれまで複数の事業計画を立ててきたが、抜本的な業績回復には至っていない。昨年末から進めていたホンダとの経営統合の協議もまとまらなかった。

問題は、有力な後任候補が社内にいないこと。複数の関係者によれば、最高財務責任者(CFO)のジェレミー・パパン氏、最高企画責任者のイヴァン・エスピノーサ氏らが後任に浮上している。しかし、両氏とも現体制の役員で、「従業員を含めステークホルダー(利害関係者)が納得するかどうか分からない」と関係者の1人は話す。

パパン氏は1月にCFOに就くまで北米事業のトップを務め、エスピノーサ氏はここ数年、商品企画の担当役員だった。日産の業績が悪化した最大の要因の1つは北米市場で、需要の高いハイブリッド車を投入しておらず在庫が積み上がり、値引き販売を迫られた。

複数の関係者によると、日産は6日、取締役12人のうち5人(うち社外取締役は4人)で構成する「指名委員会」を開き、11日の取締役会に提示する人事案を議論した。だが、有力な後任候補がいない中、同委員会では内田氏の進退について決められず、取締役会に持ち越された、と関係者は話す。このため、暫定的な社長を置くという方法が模索されるほか、内田社長が続投するという選択肢も残る。

日産広報はロイターの取材にコメントを控えた。

ロイター
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