1月実質賃金3カ月ぶりマイナス、賃金増を物価高が上回る=毎月勤労統計

3月10日、厚生労働省が公表した1月の毎月勤労統計速報によると、実質賃金は前年比1.8%減と3カ月ぶりに減少した。都内で2016年1月撮影(2025年 ロイター/Toru Hanai)
Tetsushi Kajimoto
[東京 10日 ロイター] - 厚生労働省が10日に公表した1月の毎月勤労統計速報によると、実質賃金は前年比1.8%減と3カ月ぶりに減少した。名目賃金の伸びを物価の上昇が上回ったためで、前月の0.3%増から一転してマイナスとなった。
労働者1人当たりの平均名目賃金を示す現金給与総額は、同2.8%増の29万5505円。前月の4.4%増から伸びは縮小したものの、37カ月連続のプラスとなった。
一方で、消費者物価指数(持家の帰属家賃除く総合)は同4.7%と前月の4.2%から上昇率が拡大し、2023年1月(5.1%上昇)以来の高さとなった。キャベツなど生鮮食料品の価格高騰やコメ価格の高止まり、電機・ガス料金激変緩和措置の終了による前年比の反動が出た。
名目賃金の伸びを物価の上昇が大きく上回ったことで、実質賃金は減少した。
現金給与総額のうち、賃上げのベアを反映する所定内給与(基本給)は3.1%増で、32年3カ月ぶりの高い伸び率を記録した。
時間外手当などの所定外給与は3.1%増、ボーナスなど特別に支払われた給与は3.7%減だった。
円安や国際商品市況の高止まりも相まって物価が賃金を上回るペースで上昇し、実質賃金の伸びを抑えている。賃金の伸び悩みにより国内総生産(GDP)の過半を占める個人消費がふるわず、日本経済の停滞の要因となっている。