欧州防衛企業、米のウクライナ支援停止後の兵器穴埋めには「数年」も

3月4日、欧州の防衛関連企業は、トランプ米大統領がウクライナへの軍事支援を一時停止したことにより生じる防衛機器の供給不足を穴埋めするのに前向きな姿勢を示している。写真はタレスのパトリス・ケインCEO。パリで2023年6月代表撮影(2025年 ロイター)
[パリ/ローマ 4日 ロイター] - 欧州の防衛関連企業は、トランプ米大統領がウクライナへの軍事支援を一時停止したことにより生じる防衛機器の供給不足を穴埋めするのに前向きな姿勢を示している。だが、不足分の穴埋めには数年の期間を要するとみられる上、欧州連合(EU)加盟国によるウクライナ支援の政治的な方針が防衛企業との契約にどの程度早く結び付くかに左右される面もある。
EUは加盟国の防衛力強化のため8000億ユーロ(8400億ドル)の資金確保を目指す再軍備計画を発表。6日に開催されるEU特別首脳会議で協議する。
こうした中、フランスの防衛・通信機器大手タレスのパトリス・ケイン最高経営責任者(CEO)は「欧州は必要な防衛機器を全面的に生産する技術を保有しているだろうか。答えはイエスだ」と指摘。「問題は買い手、政府、軍隊の方に委ねられている。契約が締結されれば、われわれは準備を整えるが、あまりにも前倒しで準備するのは適切ではない」と述べた。
英国、フランス、ベルギーなどは防衛支出を拡大すると表明しているが、防衛機器業界からは、政治的な目標が受注に結び付かない、もしくは契約を米国のライバル勢に横取りされてしまうといった不満の声が聞かれる。
イタリアの航空宇宙・防衛大手レオナルドは、防衛機器の受注が増えれば、他社との提携や合弁事業を通じて生産を増やす態勢を整えている。同社のロベルト・チンゴラーニCEOがアナリストとの電話会見で明らかにした。
チンゴラーニ氏は、これは必ずしも新たな生産施設への投資を意味するわけではなく、稼働していない生産施設を再稼働させる方針のため、納入には時間を要する可能性があると説明した。同氏によると、戦車や戦闘機の生産は納入まで2、3年の期間を要する見込みだ。
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