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アングル:ヘッジファンドが中国不動産株に食指、市況回復時のリターン狙い

2025年02月28日(金)13時30分

 2月27日、長らく敬遠されてきた中国の不動産関連株を、一部の大手ヘッジファンドや投資家が安値で買い集めている。恵州市の共同住宅建設現場で2024年10月撮影(2025年 ロイター/Nicoco Chan)

Summer Zhen Jiaxing Li

[香港 27日 ロイター] - 長らく敬遠されてきた中国の不動産関連株を、一部の大手ヘッジファンドや投資家が安値で買い集めている。不動産業界が長引く危機から回復すれば大きなリターンを得られると見込んでいるためだ。

投資家によると、主要都市で住宅が値上がりし、政府が業界トップである万科企業の支援に動くなど不動産業界はこのところ明るい兆しが出ており、今年が転換点になりそうだ。

もっとも、投資家は慎重に銘柄を選別しており、狙いを国有の大手住宅開発会社と最大手のオンライン不動産仲介会社に絞っている。

上海重陽投資管理(運用資産50億ドル)の王慶会長は「当社は最近、一部の大手国有不動産開発会社株を追加で取得した。不動産業界が持ち直していることと、勝者総取りの理屈に基づいた判断だ」と話した。「第一級都市(大都市圏)では土地取引が回復している。われわれが注目しているのは、今も積極的に土地を購入しているのがこうした一部業者だという点だ」と述べ、こうした企業は市場シェアを拡大しているとの見方を示した。

中国の不動産セクターは過去3年余りにわたり、債務危機の影響から空売りの際に筆頭の標的となってきた。とりわけ中国恒大や融創中国など大手民間開発会社の相次ぐ経営破綻によって市場では業界全体に対する不信感が深まっていた。

しかし最近の投資家心理の動向からは、中国政府が昨年9月以降に打ち出した市場安定化策や不動産業界における合従連衡の進展によって投資家が再び同セクターに対する信頼を取り戻しつつある様子が読み取れる。

香港に拠点を置くヘッジファンド、ゴールデン・ネスト・キャピタルも一部の国有不動産会社株を購入し始めている。最高投資責任者(CIO)のスタンリー・タオ氏は「確かに新築住宅の販売量は半減したが、それ以上に開発業者の数が減っている」と指摘。不動産セクターが安定すれば、長年敬遠されてきた銘柄が非常に大きく反発すると予想している。

香港市場に上場する中国本土の不動産株は今月に入って15%余りも急騰し、ハイテク株に次ぐ上昇ぶりとなっている。

<人気集める不動産情報サイト株>

米不動産情報サイト、ジロウの中国版とも称されるオンライン不動産売買プラットフォームの貝殻找房(KEホールディングス)がアジアの有力ヘッジファンドの間で人気を集めている。

香港拠点のヘッジファンド、アスペックス・マネジメントは2024年第4・四半期に、米上場のKEホールディングスの株式651万株を追加で購入した。またWTアセット・マネジメントも昨年第4・四半期にKEホールディングスの株式を4000万ドル強で220万株買い増した。

KEホールディングスは春節(旧正月)後の主要都市での中古住宅販売の好調やハイテク技術の進化が追い風になっていると、シティ・リサーチの不動産アナリスト、グリフィン・チャン氏は今週のリサーチノートで分析した。

資金繰りに苦しんでいた不動産最大手の万科企業が2月初旬に政府の支援策を受けたことも市場心理の大幅な改善につながった。多くの投資家はこの支援が節目となり、他の大手開発会社の債務不履行リスクが大幅に低下すると受け止めた。開発会社の多くは過去3年間に80%以上も株価が下げたが、KEホールディングスなどの株価は2月に入って急反発した。

ピクテ・アセット・マネジメントのアジア部門を率いるジョン・ウィサー氏は「不動産株はそろそろ転換点に近づいていると思う」としつつ、実際にこうした銘柄に投資するかどうかは政府主導による一層の業界再編の有無や不動産価格の動向次第だと慎重な姿勢も見せた。

中国の不動産市況の回復は今のところまだ初期段階にすぎない。小規模都市では売れ残り物件の問題が続いており、今後の見通しを巡って投資家の間で意見が分かれている。

UOBケイ・ヒアン・ウェルス・マネジメントのワン・チー最高投資責任者(CIO)は「これはあくまでトレーディングの機会だ。一過性のものかもしれないが、それでも3-6カ月間は投資のチャンスがあるのではないか。こうした銘柄は極めて割安で、50%の値上がりは普通にあり得る」と、短期売買に期待を寄せた。

ロイター
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