非正規社員の就業調整、3割弱が「年収の壁」のため=リクルート調査
11月15日、リクルートのジョブズリサーチセンターが公表した「就業時間調整者に関する調査2024」によると、非正規社員が就業調整をする理由(複数回答可)は「心身ともに健康的に働くため」との回答が最も多く、次いで「年収の壁」となった。写真は2019年1月、都内で撮影(2024年 ロイター/Issei Kato)
[東京 15日 ロイター] - リクルートのジョブズリサーチセンターが15日公表した「就業時間調整者に関する調査2024」によると、非正規社員が就業調整をする理由(複数回答可)は「心身ともに健康的に働くため」との回答が最も多く、次いで「年収の壁」となった。「年収の壁」とそれ以外の理由を上げた回答者に、どちらの理由の優先度が高いか聞いたところ「年収の壁」と答えた人が50.7%となった。
回答者の約3人に1人は、働く時間を増やしたいと考えており、そのうち6割を超える人が、働く時間を制限する事由がなくなれば、仕事内容や量、責任など何らかのキャリアを広げたいと考えていることも分かった。
就業調整をしている理由は、「心身ともに健康的に働くため」が41.3%と最も多く、いわゆる年収の壁と呼ばれる「住民税・所得税の非課税、配偶者控除(手当)を受けるため、社会保険の扶養内で働きたいから」が27.8%で続いた。
年収103万円の上限を超えると所得税が発生する「103万円の壁」や、社会保険料負担を規定する106万円、130万円の壁、などいわゆる「年収の壁」の問題は、与野党にとって今月召集予定の臨時国会でも最大の争点だ。
「昨今の人手不足の中で、非正規の方で就業時間を増やしたいという人がこれだけいるということは日本の労働制約がかかっている中ではいいこと」とジョブズリサーチセンター・センター長の宇佐川邦子氏は述べる。「きちんと増やしたい人たちが希望に応じて働けるような仕組みを作っていく事が極めて重要だ」と加えた。
同調査は今年9月13日から17日まで、全国の18歳から74歳の男女で、アルバイト・パート、契約社員、派遣社員のいずれかで、働く時間を制限している男女約1万人を対象にインターネットで行われ、2162人の有効回答を得た。
働く時間を増やすきっかけになるものとして最も多かったのは「すきま時間で働けるような仕事があったら」の35.1%で、「給与が増えても住民税・所得税の非課税、配偶者控除が受けられる制度ができたら、社会保険の扶養内で働ける制度ができたら」が19.7%で続いた。