ニュース速報

KBN3GV2B2

2025年04月24日(木)07時37分

<為替> ドルが主要通貨に対し上昇した。トランプ米大統領が前日、連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長を解任する意向はないと表明したことに加え、米中貿易戦争を巡る緊張が緩和に向かうとの期待感が出てきたことで、市場に安心感が広がった。

米中貿易戦争を巡っては関係筋がこの日、米政権は中国との協議の一環として中国製品に対する関税引き下げを検討する可能性があると明らかにした。ベッセント米財務長官も、中国との貿易を巡る交渉を進展させるには緊張緩和が必要とし、米中が互いに表明している関税率を現在の過度に高い水準から引き下げる必要があるとの見解を示した。

トランプ大統領の関税政策などを巡る懸念から、ドル相場はここ数週間は約3年ぶりの安値近辺で推移。この日はドルに買いが入ったことで 主要通貨に対するドル指数は上昇し、終盤の取引で0.297%高の99.86。 

トランプ大統領がパウエルFRB議長を繰り返し非難していたこともドル相場の重しになっていたが、トランプ氏は前日、FRBは金利を引き下げるべきだと改めて主張しながらも、パウエル議長を解任する意向はないと表明。 

MUFGのシニア通貨アナリスト、リー・ハードマン氏は、トランプ氏が議長の解任はないと明確に否定したことは、市場にとって勇気づけられるシグナルだったと述べた。  

終盤の取引でドル/円は1.27%高の143.435円。ユーロ/ドルは0.86%安の1.132ドル。      

暗号資産(仮想通貨)のビットコインは2%高の9万3705ドル。    

<債券> 国債利回りがまちまちの動きを見せた。米政府高官が対中貿易戦争の緩和の余地があることを示唆したほか、トランプ大統領がFRB批判を後退させたことは、米国債市場に一時的な安心感を与えた。

DWSグループの上級ポートフォリオマネージャー、スティーブン・チャンシ氏は「関税に対してより友好的な結果が得られれば、経済成長は依然として緩やかな軌道にあり、(関税による)一時的なインフレショックも小さくなると予想される。FRBが利下げを再開する可能性を示すだろう」と述べた。同氏は年内2回の利下げを予想している。

指標となる10年債利回りは序盤に大きく低下したが、経済指標の一部に上振れのサプライズがあったため、その後は勢いを失った。

米S&Pグローバルが23日発表した4月の米総合購買担当者景気指数(PMI)速報値は51.2と、前月の53.5から低下した。ただ、関税の不確実性の中で販売価格指数は上昇した。

3月の新築一戸建て住宅販売戸数(季節調整済み)は年率換算で前月比7.4%増の72万4000戸と、予想を上回った。

10年債利回りは前日比でわずかに低下し4.385%だった。30年債利回りは約5ベーシスポイント(bp)低下して4.83%となった。

一方、2年債利回りは6bp上昇の3.859%。

2年債と10年債の利回り格差は53bpとなり、イールドカーブは平たん化した。

それでも、複数の市場参加者が、二転三転する米国の政策決定が投資家を不安にさせる可能性があると警告している。

ニューヨーク連銀の最新データによると、長期米国債保有リスクに対する投資家の期待する対価を示す指標である10年国債のタームプレミアムは、22日時点で77bpとなった。21日に記録した2014年以来の高水準からは数bp下回っている。

<株式> 続伸して終了した。トランプ米大統領が前日、FRBのパウエル議長を解任する意向はないと明確に表明したことに加え、米中貿易戦争を巡る緊張の緩和に期待感が出てきたことで、市場に安心感が広がった。

米中貿易戦争を巡っては関係筋がこの日、米政権は中国との協議の一環として中国製品に対する関税引き下げを検討する可能性があると明らかにした。ベッセント米財務長官も、中国との貿易を巡る交渉を進展させるには緊張緩和が必要とし、米中が互いに表明している関税率を現在の過度に高い水準から引き下げる必要があるとの見解を表明。これを受け、米株価は大きく上昇した。

アメリプライズ(ミシガン州トロイ)のチーフエコノミスト、ラッセル・プライス氏は「米株式市場はワシントン発の動向を受け力強く寄り付いた」とし、「トランプ大統領がパウエルFRB議長を解任する意図はないと表明したことに加え、トランプ政権が現在、中国に課している関税率が大幅に引き下げられる可能性があるとの見方が背景にある。こうしたことは市場で期待されていたポジティブな材料だった」と述べた。 

トランプ大統領は前日、FRBは金利を引き下げるべきだと改めて主張しながらも、パウエル議長を解任する意向はないと表明。ベアード(ケンタッキー州ルイビル)の投資戦略アナリスト、ロス・メイフィールド氏は「市場システムの砦の一つであるFRBの独立性が脅かされたことで、債券やドル相場に圧力がかかり、米国からの資金流出の加速につながっていた」と述べた。

電気自動車(EV)大手テスラは5.3%高。前日発表した第1・四半期決算は71%減益となったが、イーロン・マスク最高経営責任者(CEO)が来月からトランプ政権に充てる時間を大幅に減らし、テスラ経営に時間をより割いていくと表明したことを好感した。

航空機大手ボーイングも6.1%上昇。第1・四半期決算は生産や納入が持ち直したことを受け、損失が予想ほど膨らまなかった。

航空宇宙・防衛大手ゼネラル・ダイナミクス(GD)は3.3%安。第1・四半期決算は防衛関連需要の持続を追い風に27%増益だったが、ビジネスジェット機の受注が前期から減少した。

<金先物> 大幅続落。トランプ大統領の発言を受けて景気先行き不安が和らぎ、手じまい売りが活発化した。中心限月6月物の清算値(終値に相当)は、前日比125.30ドル(3.66%)安の1オンス=3294.10ドル。

<米原油先物> 石油輸出国機構(OPEC)が主導する生産調整方針を巡り供給過剰への懸念が広がる中、下落した。この日から新たに中心限月となった米国産標準油種WTI6月物の清算値(終値に相当)は、前日比1.40ドル(2.20%)安の1バレル=62.27ドル。7月物は1.31ドル安の61.31ドルだった。

ロイター
Copyright (C) 2025 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

赤沢再生相が30日から訪米へ、トランプ関税巡り再交

ビジネス

東証が投資単位引き下げの参考値10万円を提示、若年

ビジネス

中国BYD、欧州事業見直し 戦略の失敗に対応

ビジネス

原油先物は小幅高、2%下落の後小動き
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
2025年4月29日号(4/22発売)

タイ・ミャンマーでの大摘発を経て焦点はカンボジアへ。政府と癒着した犯罪の巣窟に日本人の影

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    教皇死去を喜ぶトランプ派議員「神の手が悪を打ち負かした」の真意
  • 2
    トランプ政権はナチスと類似?――「独裁者はまず大学を攻撃する」エール大の著名教授が国外脱出を決めた理由
  • 3
    【クイズ】「地球の肺」と呼ばれる場所はどこ?
  • 4
    「スケールが違う」天の川にそっくりな銀河、宇宙初…
  • 5
    日本の10代女子の多くが「子どもは欲しくない」と考…
  • 6
    アメリカは「極悪非道の泥棒国家」と大炎上...トラン…
  • 7
    【クイズ】世界で最もヒットした「日本のアニメ映画…
  • 8
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?.…
  • 9
    トランプの中国叩きは必ず行き詰まる...中国が握る半…
  • 10
    ウクライナ停戦交渉で欧州諸国が「譲れぬ一線」をア…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ? 1位は意外にも...!?
  • 2
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?...「偽スーパーフード」に専門家が警鐘
  • 3
    しゃがんだ瞬間...「えっ全部見えてる?」ジムで遭遇した「透けレギンス」投稿にネット騒然
  • 4
    「スケールが違う」天の川にそっくりな銀河、宇宙初…
  • 5
    【渡航注意】今のアメリカでうっかり捕まれば、裁判…
  • 6
    【クイズ】「地球の肺」と呼ばれる場所はどこ?
  • 7
    女性職員を毎日「ランチに誘う」...90歳の男性ボラン…
  • 8
    【クイズ】売上高が世界1位の「半導体ベンダー」はど…
  • 9
    「100歳まで食・酒を楽しもう」肝機能が復活! 脂肪…
  • 10
    自宅の天井から「謎の物体」が...「これは何?」と投…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった...糖尿病を予防し、がんと闘う効果にも期待が
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 5
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 6
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 7
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 8
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 9
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中