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独裁者プーチンの冷酷さを表す逸話(?)
ILLUSTRATION BY AYAKO OCHI FOR NEWSWEEK JAPAN
<あるロシア人ジャーナリストは「ソ連が残した良き遺産はジョークだけ」と言った。いつの時代もロシアの民衆はしぶとく、独裁者に屈することはなかった>
【忠誠心】
ロシアのプーチン大統領が訪米し、アメリカのバイデン大統領と会談した。舞台は国連の本部ビルの最上階だった。
休憩中、2人はそれぞれの側近の忠誠心を試してみようということになった。
初めにバイデンが自身の側近の1人に言った。
「おい、そこの窓から飛び降りろ」
すると部下は泣きながら言った。
「勘弁してください。私には妻も子供もいるのです」
バイデンは笑って答えた。
「冗談だよ。すまなかったな」
続いてプーチンが自身の側近の1人に言った。
「おい、そこの窓から飛び降りろ」
するとその側近は、泣きながら窓に向かって近づいていった。バイデンが驚いて彼を止めて言った。
「本気にする奴がいるか! こんな所から飛び降りたら死ぬぞ」
それを聞いた彼は叫んだ。
「止めないでください!」
彼は続けた。
「私には妻も子供もいるのです!」
ロシアという国は実は「ジョーク大国」。ロシア人ほどジョーク好きの民族はいないかもしれない。
ロシアではジョークのことを「アネクドート」と呼ぶ。ソ連時代、共産党による民衆への弾圧が激しくなるにつれ、アネクドートは発展した。
指導者を批判する自由を奪われた民衆は、陰に隠れて恐怖政治を笑うアネクドートを楽しんだのである。
スターリン、フルシチョフ、ブレジネフなど、笑いの標的に苦労することはなかった。いつの時代も民衆はしぶとく、独裁者に屈服することはなかった。
私の知人のロシア人ジャーナリストは「ソ連が残した良き遺産はジョークだけ」と言って笑っていたが、こういう何げない言葉の内側に歴史の真実は宿る。
そして今、世界のジョークの主役となっているのがウラジーミル・プーチンである。
元KGB(ソ連国家保安委員会)というそのキャラクターは、以前からジョーク界でも特異な存在感を発揮してきたが、今回のウクライナ侵攻によって一挙に主役に躍り出た。
ついに世界中を敵に回した
プーチンはレニングラード(現・サンクトペテルブルク)の生まれ。父親は機械技師で、一家の暮らし向きは決して豊かではなかったとされる。
そんな彼が夢中になったのが柔道だった。以前、北方領土問題に関して「引き分け」という柔道の表現を用い、日本側をはぐらかし続けたことは、いまだ記憶に新しい。
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