コラム

ワクチン世界最速のイスラエル、ユダヤ人ジョークに見るその国民性

2021年02月22日(月)11時40分

ILLUSTRATION BY AYAKO OCHI FOR NEWSWEEK JAPAN

<ユダヤ人が1948年に建国し、コロナワクチン接種で今、国際的な注目を集めるイスラエル。ジョークの世界では、欧米人が抱く「ユダヤ人観」が反映されている>

【捜索の結果】
ある日、アメリカのとあるユダヤ人コミュニティーで発行されている新聞に、小さな広告が出た。

「先日、私は町の外れで財布を落としてしまいました。もし見つけていただければ、謝礼は致します」

彼が財布を落としたとされるその場所は、今では「グランドキャニオン」と呼ばれている。

◇ ◇ ◇

新型コロナウイルスのワクチン接種を世界最速のペースで進め、国際的な注目を集めるイスラエル。ヘブライ語で「神が支配する」を表すこの国は、第2次大戦後の1948年にユダヤ人によって建国された。

私は2度、イスラエルを訪れたことがある。1度目は2002年、隣国ヨルダンからの陸路であった。

ヨルダンの首都アンマンから乗ったバスは無事に国境に到着。しかし、イスラエル側の入国審査には、2時間ほど時間がかかった。

アンマンの市場で買ったモスク(イスラム礼拝所)の形をした目覚まし時計(セットした時間になるとアザーン〔イスラム教における礼拝への呼び掛け〕が流れるお気に入り)は、無残にも分解されて壊れてしまった。「時限爆弾」と疑われたようであった。

パスポートに入国スタンプを押されてしまうと、周辺のいくつかのアラブ諸国に入国できなくなってしまうため、別紙に押印してもらう。入国審査所には若い女性の係員や兵士が多かったが、無理やり明るい雰囲気を演出しているように見えた。

2009年、2度目のイスラエル入国は、テルアビブの空港からだった。大半の乗客はすんなりと審査を通過していたが、私は別室に連れられ、荷物を細かくチェックされた。

「そのヒゲは何だ?」

と聞かれたが、何だと言われても答えようがない。かなりの難問であった。

ユダヤ人はジョークの世界では「商売上手」「したたか」、そして冒頭の引用どおり「お金に執着する」といった配役で登場する。これは主に欧米人が抱く「ユダヤ人観」が濃厚に反映された結果と言えるだろう。

プロフィール
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

豪3月住宅価格は過去最高、4年ぶり利下げ受け=コア

ビジネス

アーム設計のデータセンター用CPU、年末にシェア5

ビジネス

米ブラックロックCEO、保護主義台頭に警鐘 「二極

ワールド

ガザの砂地から救助隊15人の遺体回収、国連がイスラ
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 2
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者が警鐘【最新研究】
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 5
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 6
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 7
    3500年前の粘土板の「くさび形文字」を解読...「意外…
  • 8
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 9
    メーガン妃のパスタ料理が賛否両論...「イタリアのお…
  • 10
    なぜ「猛毒の魚」を大量に...アメリカ先住民がトゲの…
  • 1
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き詰った「時代遅れ企業」の行く末は?【アニメで解説】
  • 2
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 3
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 4
    【独占】テスラ株急落で大口投資家が本誌に激白「取…
  • 5
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 6
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 7
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 8
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 9
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 10
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジ…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story