コロナ禍と東京五輪を挟んだ6年ぶりの訪問で、「新しい日本」を見た
日本は自国の運命を自ら切り開こうとし始めた
アメリカは、1945年には世界のGDPの50%を占めていたが、現在その割合は25%ほどに低下している。アジアの国々は経済的に台頭し、中国は世界の中心の地位を取り戻し、ますます強硬に自己主張をするようになった。
日本はこれまでもっぱら、豊かでテクノロジーの進んだ国として振る舞ってきたが、世界の現実が変わり、過去の記憶が薄らぐのに伴い、ほかの国々と同じように自国の運命を自ら切り開こうとし始めた。それは、日本にとって開放感をもたらすと同時に、責任を伴う変化でもある。
今回の日本訪問では、理髪店ではない場所で思いがけず素敵な経験をした。東京の国立美術館へ向かうタクシーの運転手と、指揮者の故小沢征爾の話で盛り上がったのだ。運転手は話に夢中になるあまり、途中で車を止めて、世界の交響楽団について熱弁を振るい、自分はフルートに熱心に取り組んでいるのだと教えてくれた。
2024年の東京は、高齢化と人口減少、賃金の停滞、中国の脅威とアメリカのつまずき、地球温暖化などの不安はあっても、6年前より余裕があるように感じられた。そして、世界が不安定化するなかで、日本は自立性を強めているように見えた。世界は変わり、国々が互いを見る目も変わった。それに伴い、日本も変わったのだ。
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